そこで、まさに、尊者サーリプッタが、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、尊者サーリプッタに、世尊は、こう言いました。「サーリプッタよ、いったい、まさに、どれだけの力が、煩悩が滅尽した比丘にあるのですか。それらの力を具備した、煩悩が滅尽した比丘は、諸々の煩悩の滅尽を明言します。『わたしの諸々の煩悩は、滅尽したのだ』」と。
「尊き方よ、十のものがあります。煩悩が滅尽した比丘にとって、力となるものです。それらの力を具備した、煩悩が滅尽した比丘は、諸々の煩悩の滅尽を明言します。『わたしの諸々の煩悩は、滅尽したのだ』と。どのようなものが、十のものなのですか。(1)尊き方よ、ここに、煩悩が滅尽した比丘にとって、無常〔の観点〕から、一切の形成〔作用〕は、事実のとおりに、正しい智慧によって善く見られたものと成ります。尊き方よ、すなわち、また、煩悩が滅尽した比丘にとって、無常〔の観点〕から、一切の形成〔作用〕が、事実のとおりに、正しい智慧によって善く見られたものと成るなら、尊き方よ、これもまた、煩悩が滅尽した比丘とって、力と成ります。その力に由来して、煩悩が滅尽した比丘は、諸々の煩悩の滅尽を明言します。『わたしの諸々の煩悩は、滅尽したのだ』と。
(2)尊き方よ、さらに、また、他に、煩悩が滅尽した比丘にとって、火坑の如き諸々の欲望〔の対象〕(女性)は、事実のとおりに、正しい智慧によって善く見られたものと成ります。尊き方よ、すなわち、また、煩悩が滅尽した比丘にとって、火坑の如き諸々の欲望〔の対象〕が、事実のとおりに、正しい智慧によって善く見られたものと成るなら、尊き方よ、これもまた、煩悩が滅尽した比丘にとって、力と成ります。その力に由来して、煩悩が滅尽した比丘は、諸々の煩悩の滅尽を明言します。『わたしの諸々の煩悩は、滅尽したのだ』と。
(3)尊き方よ、さらに、また、他に、煩悩が滅尽した比丘にとって、心は、遠離に向かい行くものと成り、遠離に傾倒するものと〔成り〕、遠離に傾斜するものと〔成り〕、遠離を義(目的)とするものと〔成り〕、離欲を喜び楽しむものと〔成り〕、諸々の煩悩が止住するべき法(性質)から、全てにわたり、終息と成ったものと〔成ります〕。尊き方よ、すなわち、また、煩悩が滅尽した比丘にとって、心が、遠離に向かい行くものと成り、遠離に傾倒するものと〔成り〕、遠離に傾斜するものと〔成り〕、遠離を義(目的)とするものと〔成り〕、離欲を喜び楽しむものと〔成り〕、諸々の煩悩が止住するべき法(性質)から、全てにわたり、終息と成ったものと〔成るなら〕、尊き方よ、これもまた、煩悩が滅尽した比丘にとって、力と成ります。その力に由来して、煩悩が滅尽した比丘は、諸々の煩悩の滅尽を明言します。『わたしの諸々の煩悩は、滅尽したのだ』と。
(4)尊き方よ、さらに、また、他に、煩悩が滅尽した比丘の、四つの気づきの確立(四念処・四念住)は、〔すでに〕修められ、善く修められたものと成ります。尊き方よ、すなわち、また、煩悩が滅尽した比丘の、四つの気づきの確立が、〔すでに〕修められ、善く修められたものと成るなら、尊き方よ、これもまた、煩悩が滅尽した比丘にとって、力と成ります。その力に由来して、煩悩が滅尽した比丘は、諸々の煩悩の滅尽を明言します。『わたしの諸々の煩悩は、滅尽したのだ』と。
(5)尊き方よ、さらに、また、他に、煩悩が滅尽した比丘の、四つの正しい精励(四正勤)は、〔すでに〕修められ、善く修められたものと成ります。……略……(6)四つの神通の足場(四神足)は、〔すでに〕修められ、善く修められたものと成ります。……略……(7)五つの機能(五根)は、〔すでに〕修められ、善く修められたものと成ります。……略……(8)五つの力(五力)は、〔すでに〕修められ、善く修められたものとして有ります。……(9)七つの覚りの支分(七覚支)は、〔すでに〕修められ、善く修められたものとして有ります。……(10)聖なる八つの支分ある道(八正道・八聖道)は、〔すでに〕修められ、善く修められたものと成ります。尊き方よ、すなわち、また、煩悩が滅尽した比丘の、聖なる八つの支分ある道が、〔すでに〕修められ、善く修められたものと成るなら、尊き方よ、これもまた、煩悩が滅尽した比丘にとって、力と成ります。その力に由来して、煩悩が滅尽した比丘は、諸々の煩悩の滅尽を明言します。『わたしの諸々の煩悩は、滅尽したのだ』と。
尊き方よ、まさに、これらの十の、煩悩が滅尽した比丘にとって、力となるものがあります。それらの力を具備した、煩悩が滅尽した比丘は、諸々の煩悩の滅尽を明言します。『わたしの諸々の煩悩は、滅尽したのだ』」と。〔以上が〕第十となる。
長老の章が第四となる。
その〔章〕のための摂頌となる。
〔そこで、詩偈に言う〕「ヴァーハナ、アーナンダ、プンニヤ、説き明かし、誇る者、〔増上〕慢ある者、『愛慕〔の思い〕ではなく』と罵倒とコーカーリがあり、そして、煩悩の滅尽者の力とともに、〔章となる〕」と。
注釈【0】