或る時のことです。世尊は、サーヴァッティーに住んでおられます。ジェータ林のアナータピンディカ〔長者〕の林園において。そこで、まさに、アナータピンディカ家長が、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、アナータピンディカ家長に、世尊は、こう言いました。
「家長よ、十のものがあります。これらの欲望の享受者たちが、世において等しく見出されつつ存しています。どのようなものが、十のものなのですか。(1)家長よ、ここに、一部の者は、欲望の享受者として、法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求めます。法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させず喜悦させず、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為しません。
(2)家長よ、また、ここに、一部の者は、欲望の享受者として、法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求めます。法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為しません。
(3)家長よ、また、ここに、一部の者は、欲望の享受者として、法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求めます。法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為します。
(4)家長よ、また、ここに、一部の者は、欲望の享受者として、法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求めます。法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させず喜悦させず、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為しません。
(5)家長よ、また、ここに、一部の者は、欲望の享受者として、法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求めます。法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為しません。
(6)家長よ、また、ここに、一部の者は、欲望の享受者として、法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求めます。法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為します。
(7)家長よ、また、ここに、一部の者は、欲望の享受者として、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めます。法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させず喜悦させず、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為しません。
(8)家長よ、また、ここに、一部の者は、欲望の享受者として、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めます。法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為しません。
(9)家長よ、また、ここに、一部の者は、欲望の享受者として、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めます。法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為します。そして、それらの財物を、拘束された者として、耽溺する者として、固執する者として、危険を見ない者として、出離の智慧なき者として、遍く受益します。
(10)家長よ、また、ここに、一部の者は、欲望の享受者として、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めます。法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為します。そして、それらの財物を、拘束されない者として、耽溺しない者として、固執しない者として、危険を見る者として、出離の智慧ある者として、遍く受益します。
(1)家長よ、そこで、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させず喜悦させず、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さないなら、家長よ、この者は、欲望の享受者として、三つの状況によって非難されるべきです。『法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この第一の状況によって非難されるべきです。『自己を安楽させず喜悦させない』と、この第二の状況によって非難されるべきです。『〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さない』と、この第三の状況によって非難されるべきです。家長よ、この者は、欲望の享受者として、これらの三つの状況によって非難されるべきです。
(2)家長よ、そこで、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さないなら、家長よ、この者は、欲望の享受者として、二つの状況によって非難されるべきであり、一つの状況によって賞賛されるべきです。『法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この第一の状況によって非難されるべきです。『自己を安楽させ喜悦させる』と、この一つの状況によって賞賛されるべきです。『〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さない』と、この第二の状況によって非難されるべきです。家長よ、この者は、欲望の享受者として、これらの二つの状況によって非難されるべきであり、この一つの状況によって賞賛されるべきです。
(3)家長よ、そこで、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為すなら、家長よ、この者は、欲望の享受者として、一つの状況によって非難されるべきであり、二つの状況によって賞賛されるべきです。『法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この一つの状況によって非難されるべきです。『自己を安楽させ喜悦させる』と、この第一の状況によって賞賛されるべきです。『〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為す』と、この第二の状況によって賞賛されるべきです。家長よ、この者は、欲望の享受者として、この一つの状況によって非難されるべきであり、これらの二つの状況によって賞賛されるべきです。
(4)家長よ、そこで、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させず喜悦させず、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さないなら、家長よ、この者は、欲望の享受者として、一つの状況によって賞賛されるべきであり、三つの状況によって非難されるべきです。『法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この一つの状況によって賞賛されるべきです。『法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この第一の状況によって非難されるべきです。『自己を安楽させず喜悦させない』と、この第二の状況によって非難されるべきです。『〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さない』と、この第三の状況によって非難されるべきです。家長よ、この者は、欲望の享受者として、この一つの状況によって賞賛されるべきであり、これらの三つの状況によって非難されるべきです。
(5)家長よ、そこで、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さないなら、家長よ、この者は、欲望の享受者として、二つの状況によって賞賛されるべきであり、二つの状況によって非難されるべきです。『法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この第一の状況によって賞賛されるべきです。『法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この第一の状況によって非難されるべきです。『自己を安楽させ喜悦させる』と、この第二の状況によって賞賛されるべきです。『〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さない』と、この第二の状況によって非難されるべきです。家長よ、この者は、欲望の享受者として、これらの二つの状況によって賞賛されるべきであり、これらの二つの状況によって非難されるべきです。
(6)家長よ、そこで、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)と法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによってもまた、無理強いしないことによってもまた、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為すなら、家長よ、この者は、欲望の享受者として、三つの状況によって賞賛されるべきであり、一つの状況によって非難されるべきです。『法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この第一の状況によって賞賛されるべきです。『法(正義)ならざる〔手段〕によって、無理強いすることによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この一つの状況によって非難されるべきです。『自己を安楽させ喜悦させる』と、この第二の状況によって賞賛されるべきです。『〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為す』と、この第三の状況によって賞賛されるべきです。家長よ、この者は、欲望の享受者として、これらの三つの状況によって賞賛されるべきであり、この一つの状況によって非難されるべきです。
(7)家長よ、そこで、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させず喜悦させず、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さないなら、家長よ、この者は、欲望の享受者として、一つの状況によって賞賛されるべきであり、二つの状況によって非難されるべきです。『法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この一つの状況によって賞賛されるべきです。『自己を安楽させず喜悦させない』と、この第一の状況によって非難されるべきです。『〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さない』と、この第二の状況によって非難されるべきです。家長よ、この者は、欲望の享受者として、この一つの状況によって賞賛されるべきであり、これらの二つの状況によって非難されるべきです。
(8)家長よ、そこで、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さないなら、家長よ、この者は、欲望の享受者として、二つの状況によって賞賛されるべきであり、一つの状況によって非難されるべきです。『法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この第一の状況によって賞賛されるべきです。『自己を安楽させ喜悦させる』と、この第二の状況によって賞賛されるべきです。『〔諸々の財物を〕分け与えず、諸々の功徳を作り為さない』と、この一つの状況によって非難されるべきです。家長よ、この者は、欲望の享受者として、これらの二つの状況によって賞賛されるべきであり、この一つの状況によって非難されるべきです。
(9)家長よ、そこで、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為し、そして、それらの財物を、拘束された者として、耽溺する者として、固執する者として、危険を見ない者として、出離の智慧なき者として、遍く受益するなら、家長よ、この者は、欲望の享受者として、三つの状況によって賞賛されるべきであり、一つの状況によって非難されるべきです。『法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この第一の状況によって賞賛されるべきです。『自己を安楽させ喜悦させる』と、この第二の状況によって賞賛されるべきです。『〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為す』と、この第三の状況によって賞賛されるべきです。『そして、それらの財物を、拘束された者として、耽溺する者として、固執する者として、危険を見ない者として、出離の智慧なき者として、遍く受益する』と、この一つの状況によって非難されるべきです。家長よ、この者は、欲望の享受者として、これらの三つの状況によって賞賛されるべきであり、この一つの状況によって非難されるべきです。
(10)家長よ、そこで、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為し、そして、それらの財物を、拘束されない者として、耽溺しない者として、固執しない者として、危険を見る者として、出離の智慧ある者として、遍く受益するなら、家長よ、この者は、欲望の享受者として、四つの状況によって賞賛されるべきです。『法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求める』と、この第一の状況によって賞賛されるべきです。『自己を安楽させ喜悦させる』と、この第二の状況によって賞賛されるべきです。『〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為す』と、この第三の状況によって賞賛されるべきです。『そして、それらの財物を、拘束されない者として、耽溺しない者として、固執しない者として、危険を見る者として、出離の智慧ある者として、遍く受益する』と、この第四の状況によって賞賛されるべきです。家長よ、この者は、欲望の享受者として、これらの四つの状況によって賞賛されるべきです。
家長よ、まさに、これらの十の欲望の享受者たちが、世において等しく見出されつつ存しています。家長よ、まさに、これらの十の欲望の享受者たちがあるなか、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為し、そして、それらの財物を、拘束されない者として、耽溺しない者として、固執しない者として、危険を見る者として、出離の智慧ある者として、遍く受益するなら、この者は、これらの十の欲望の享受者たちのなかでは、かつまた、至高の者であり、かつまた、最勝の者であり、かつまた、筆頭の者であり、かつまた、最上の者であり、かつまた、最も優れた者です。家長よ、それは、たとえば、また、牛から乳が、乳から酪が、酪から生酥が、生酥から酥が、酥から酥精があり、そこにおいて、酥精が、至高のものと告げ知らされるように⸺
家長よ、まさしく、このように、まさに、これらの十の欲望の享受者たちがあるなか、すなわち、この者が、欲望の享受者として、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求め、法(正義)によって、無理強いしないことによって、諸々の財物を遍く探し求めて、自己を安楽させ喜悦させ、〔諸々の財物を〕分け与え、諸々の功徳を作り為し、そして、それらの財物を、拘束されない者として、耽溺しない者として、固執しない者として、危険を見る者として、出離の智慧ある者として、遍く受益するなら、この者は、これらの十の欲望の享受者たちのなかでは、かつまた、至高の者であり、かつまた、最勝の者であり、かつまた、筆頭の者であり、かつまた、最上の者であり、かつまた、最も優れた者です」と。〔以上が〕第一となる。
注釈【0】