翻訳【16】
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香りの類の経
そこで、まさに、尊者アーナンダが、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、尊者アーナンダは、世尊に、こう言いました。
「尊き方よ、三つのものがあります。これらの香りの類です。それらのばあい、風下だけに、香りが赴き、風上には〔赴き〕ません。どのようなものが、三つのものなのですか。根の香りであり、芯の香りであり、花の香りです。尊き方よ、まさに、これらの三つの香りの類があります。それらのばあい、風下だけに、香りが赴き、風上には〔赴き〕ません。尊き方よ、いったい、まさに、存在しますか。何であれ、香りの類で、そのばあい、風下にもまた、香りが赴き、風上にもまた、香りが赴き、風下と風上にもまた、香りが赴く、〔そのようなものが〕」と。
「アーナンダよ、存在します。何であれ、香りの類で、そのばあい、風下にもまた、香りが赴き、風上にもまた、香りが赴き、風下と風上にもまた、香りが赴く、〔そのようなものが〕」と。「尊き方よ、また、そして、どのようなものが、香りの類であり、そのばあい、風下にもまた、香りが赴き、風上にもまた、香りが赴き、風下と風上にもまた、香りが赴くのですか」と。
「アーナンダよ、ここに、すなわち、あるいは、村において、あるいは、町において、あるいは、女が、あるいは、男が、覚者を起依所に赴いた者として〔世に〕有り、法(教え)を起依所に赴いた者として〔世に〕有り、僧団を起依所に赴いた者として〔世に〕有り、命あるものを殺すことから離間した者として〔世に〕有り、与えられていないものを取ることから離間した者として〔世に〕有り、諸々の欲望〔の対象〕にたいする誤った行ない(邪淫)から離間した者として〔世に〕有り、虚偽を説くことから離間した者として〔世に〕有り、穀物酒や果実酒や〔他の〕酔わせるものによる放逸の境位から離間した者として〔世に〕有り、戒ある者として、善き法(性質)ある者として、〔世に〕有り、物惜の垢が離れ去った心で家に居住します⸺施捨を解き放ち、〔布施のために〕手を洗い清め、放棄を喜び、乞いに応じ、布施と分与を喜ぶ者として。
沙門や婆羅門たちは、方々において、彼の栄誉を語ります。『何某という名の、あるいは、村において、あるいは、町において、あるいは、女が、あるいは、男が、覚者を起依所に赴いた者として〔世に〕有り、法(教え)を起依所に赴いた者として〔世に〕有り、僧団を起依所に赴いた者として〔世に〕有り、命あるものを殺すことから離間した者として〔世に〕有り、与えられていないものを取ることから離間した者として〔世に〕有り、諸々の欲望〔の対象〕にたいする誤った行ないから離間した者として〔世に〕有り、虚偽を説くことから離間した者として〔世に〕有り、穀物酒や果実酒や〔他の〕酔わせるものによる放逸の境位から離間した者として〔世に〕有り、戒ある者として、善き法(性質)ある者として、〔世に〕有り、物惜の垢が離れ去った心で家に居住する⸺施捨を解き放ち、〔布施のために〕手を洗い清め、放棄を喜び、乞いに応じ、布施と分与を喜ぶ者として』と。
天神たちもまた、彼の栄誉を語ります。『何某という名の、あるいは、村において、あるいは、町において、あるいは、女が、あるいは、男が、覚者を起依所に赴いた者として〔世に〕有り、法(教え)を起依所に赴いた者として〔世に〕有り、僧団を起依所に赴いた者として〔世に〕有り、命あるものを殺すことから離間した者として〔世に〕有り、与えられていないものを取ることから離間した者として〔世に〕有り、諸々の欲望〔の対象〕にたいする誤った行ないから離間した者として〔世に〕有り、虚偽を説くことから離間した者として〔世に〕有り、穀物酒や果実酒や〔他の〕酔わせるものによる放逸の境位から離間した者として〔世に〕有り、戒ある者として、善き法(性質)ある者として、〔世に〕有り、物惜の垢が離れ去った心で家に居住する⸺施捨を解き放ち、〔布施のために〕手を洗い清め、放棄を喜び、乞いに応じ、布施と分与を喜ぶ者として』と。アーナンダよ、これが、まさに、その香りの類であり、そのばあい、風下にもまた、香りが赴き、風上にもまた、香りが赴き、風下と風上にもまた、香りが赴きます」と。
〔そこで、詩偈に言う〕「花の香りは、風に逆らって行くことがない。栴檀〔の香り〕は、あるいは、タガラ(伽羅)やマッリカー(ジャスミン)〔の香り〕は、〔風に逆らって行くことが〕ない。しかしながら、正しくある者たちの香りは、風に逆らって行く。正なる人士は、全ての方角に香り行く」と。
〔以上が〕第九となる。
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注釈【0】