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翻訳【16】

サンガーラヴァ婆羅門の経

そこで、まさに、サンガーラヴァ婆羅門が、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を相手に共に挨拶しました。共に挨拶し記憶されるべき話を交わして、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、サンガーラヴァ婆羅門は、世尊に、こう言いました。「貴君ゴータマよ、いったい、まさに、何を因として、何を縁として、それによって、或る時にあっては、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白とならないのですか。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕。貴君ゴータマよ、また、何を因として、何を縁として、それによって、或る時にあっては、長夜にわたり読誦が為されていない諸々の呪文でさえも明白となるのですか。ましてや、読誦が為されたものは〔言うまでもありません〕」と。

(1)婆羅門よ、その時点において、欲望〔の対象〕にたいする貪り〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住み、欲望〔の対象〕にたいする貪り〔の思い〕に打ち負かされた〔心〕〔世に住み〕、そして、生起した欲望〔の対象〕にたいする貪り〔の思い〕の出離を、事実のとおりに覚知しないなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、他者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白となりません。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕。婆羅門よ、それは、たとえば、また、あるいは、染料が、あるいは、鬱金が、あるいは、青色〔の染料〕が、あるいは、緋色〔の染料〕が、混ざっている水鉢があり、そこにおいて、人が、眼によって、自らの顔の形相を注視しているなら、事実のとおりに覚知しないであろうし見ないであろうように、婆羅門よ、まさしく、このように、まさに、その時点において、欲望〔の対象〕にたいする貪り〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住み、欲望〔の対象〕にたいする貪り〔の思い〕に打ち負かされた〔心〕〔世に住み〕、そして、生起した欲望〔の対象〕にたいする貪り〔の思い〕の出離を、事実のとおりに覚知しないなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、他者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白となりません。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕

(2)婆羅門よ、さらに、また、他に、その時点において、憎悪〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住み、憎悪〔の思い〕に打ち負かされた〔心〕〔世に住み〕、そして、生起した憎悪〔の思い〕の出離を、事実のとおりに覚知しないなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、他者の義(利益)をもまた……略……両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白となりません。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕。婆羅門よ、それは、たとえば、また、火によって熱せられ、沸騰し泡立った水鉢があり、そこにおいて、人が、眼によって、自らの顔の形相を注視しているなら、事実のとおりに覚知しないであろうし見ないであろうように、婆羅門よ、まさしく、このように、まさに、その時点において、憎悪〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住み、憎悪〔の思い〕に打ち負かされた〔心〕〔世に住み〕、そして、生起した憎悪〔の思い〕の出離を、事実のとおりに覚知しないなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、他者の義(利益)をもまた……略……両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白となりません。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕

(3)婆羅門よ、さらに、また、他に、その時点において、〔心の〕沈滞と眠気に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住み、〔心の〕沈滞と眠気に打ち負かされた〔心〕〔世に住み〕、そして、生起した〔心の〕沈滞と眠気の出離を、事実のとおりに覚知しないなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、他者の義(利益)をもまた……略……両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白となりません。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕。婆羅門よ、それは、たとえば、また、苔や藻に覆い包まれた水鉢があり、そこにおいて、人が、眼によって、自らの顔の形相を注視しているなら、事実のとおりに覚知しないであろうし見ないであろうように、婆羅門よ、まさしく、このように、まさに、その時点において、〔心の〕沈滞と眠気に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住み、〔心の〕沈滞と眠気に打ち負かされた〔心〕〔世に住み〕、そして、生起した〔心の〕沈滞と眠気の出離を、事実のとおりに覚知しないなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、他者の義(利益)をもまた……略……両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白となりません。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕

(4)婆羅門よ、さらに、また、他に、その時点において、〔心の〕高揚と悔恨に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住み、〔心の〕高揚と悔恨に打ち負かされた〔心〕〔世に住み〕、そして、生起した〔心の〕高揚と悔恨の出離を、事実のとおりに覚知しないなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、他者の義(利益)をもまた……略……両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白となりません。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕。婆羅門よ、それは、たとえば、また、風に揺られ、揺れ動き、混沌となり、波立った水鉢があり、そこにおいて、人が、眼によって、自らの顔の形相を注視しているなら、事実のとおりに覚知しないであろうし見ないであろうように、婆羅門よ、まさしく、このように、まさに、その時点において、〔心の〕高揚と悔恨に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住み、〔心の〕高揚と悔恨に打ち負かされた〔心〕〔世に住み〕、そして、生起した〔心の〕高揚と悔恨の出離を、事実のとおりに覚知しないなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、他者の義(利益)をもまた……略……両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白となりません。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕

(5)婆羅門よ、さらに、また、他に、その時点において、疑惑〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住み、疑惑〔の思い〕に打ち負かされた〔心〕〔世に住み〕、そして、生起した疑惑〔の思い〕の出離を、事実のとおりに覚知しないなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、他者の義(利益)をもまた……略……両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白となりません。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕。婆羅門よ、それは、たとえば、また、混濁し、掻き乱され、泥まみれと成り、暗黒のなかに置かれた水鉢があり、そこにおいて、人が、眼によって、自らの顔の形相を注視しているなら、事実のとおりに覚知しないであろうし見ないであろうように、婆羅門よ、まさしく、このように、まさに、その時点において、疑惑〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住み、疑惑〔の思い〕に打ち負かされた〔心〕〔世に住み〕、そして、生起した疑惑〔の思い〕の出離を、事実のとおりに覚知しないなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、その時点において、他者の義(利益)をもまた……略……両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知せず見ず、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白となりません。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕

(1)婆羅門よ、しかしながら、まさに、その時点において、欲望〔の対象〕にたいする貪り〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住まず、欲望〔の対象〕にたいする貪り〔の思い〕に打ち負かされた〔心〕〔世に住ま〕ず、そして、生起した欲望〔の対象〕にたいする貪り〔の思い〕の出離を、事実のとおりに覚知するなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知し見、その時点において、他者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知し見、その時点において、両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知し見、長夜にわたり読誦が為されていない諸々の呪文でさえも明白となります。ましてや、読誦が為されたものは〔言うまでもありません〕。婆羅門よ、それは、たとえば、また、あるいは、染料が、あるいは、鬱金が、あるいは、青色〔の染料〕が、あるいは、緋色〔の染料〕が、混ざっていない水鉢があり、そこにおいて、人が、眼によって、自らの顔の形相を注視しているなら、事実のとおりに覚知するであろうし見るであろうように、婆羅門よ、まさしく、このように、まさに、その時点において、欲望〔の対象〕にたいする貪り〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住まず……略……。

(2)婆羅門よ、さらに、また、他に、その時点において、憎悪〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住まず……略……。婆羅門よ、それは、たとえば、また、火によって熱せられず、沸騰せず泡立っていない水鉢があり、そこにおいて、人が、眼によって、自らの顔の形相を注視しているなら、事実のとおりに覚知するであろうし見るであろうように、婆羅門よ、まさしく、このように、まさに、その時点において、憎悪〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住まず……略……。

(3)婆羅門よ、さらに、また、他に、その時点において、〔心の〕沈滞と眠気に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住まず……略……。婆羅門よ、それは、たとえば、また、苔や藻に覆い包まれていない水鉢があり、そこにおいて、人が、眼によって、自らの顔の形相を注視しているなら、事実のとおりに覚知するであろうし見るであろうように、婆羅門よ、まさしく、このように、まさに、その時点において、〔心の〕沈滞と眠気に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住まず……略……。

(4)婆羅門よ、さらに、また、他に、その時点において、〔心の〕高揚と悔恨に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住まず……略……。婆羅門よ、それは、たとえば、また、風に揺られず、揺れ動かず、混沌とならず、波立っていない水鉢があり、そこにおいて、人が、眼によって、自らの顔の形相を注視しているなら、事実のとおりに覚知するであろうし見るであろうように、婆羅門よ、まさしく、このように、まさに、その時点において、〔心の〕高揚と悔恨に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住まず……略……。

(5)婆羅門よ、さらに、また、他に、その時点において、疑惑〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住まず、疑惑〔の思い〕に打ち負かされた〔心〕〔世に住ま〕ず、そして、生起した疑惑〔の思い〕の出離を、事実のとおりに覚知するなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知し見、その時点において、他者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知し見、その時点において、両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知し見、長夜にわたり読誦が為されていない諸々の呪文でさえも明白となります。ましてや、読誦が為されたものは〔言うまでもありません〕。婆羅門よ、それは、たとえば、また、澄んでいて清らかで混濁なく、光明のなかに置かれた水鉢があり、そこにおいて、人が、眼によって、自らの顔の形相を注視しているなら、事実のとおりに覚知するであろうし見るであろうように、婆羅門よ、まさしく、このように、まさに、その時点において、疑惑〔の思い〕に遍く取り囲まれた心で〔世に〕住まず、疑惑〔の思い〕に打ち負かされた〔心〕〔世に住ま〕ず、そして、生起した疑惑〔の思い〕の出離を、事実のとおりに覚知するなら、その時点において、自己の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知し見、その時点において、他者の義(利益)をもまた……略……両者の義(利益)をもまた、事実のとおりに覚知し見、長夜にわたり読誦が為されていない諸々の呪文でさえも明白となります。ましてや、読誦が為されたものは〔言うまでもありません〕

婆羅門よ、まさに、これを因として、これを縁として、それによって、或る時にあっては、長夜にわたり読誦が為された諸々の呪文でさえも明白となりません。ましてや、読誦が為されていないものは〔言うまでもありません〕。婆羅門よ、また、これを因として、これを縁として、それによって、或る時にあっては、長夜にわたり読誦が為されていない諸々の呪文でさえも明白となります。ましてや、読誦が為されたものは〔言うまでもありません〕」と。

「貴君ゴータマよ、すばらしいことです。……略……。貴君ゴータマは、わたしを、在俗信者として認めてください⸺今日以後、命ある限り、帰依所に赴いた者として」と。〔以上が〕第三となる。

注釈【0】