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翻訳【16】

スマナーの経

或る時のことです。……略……アナータピンディカ〔長者〕の林園において。そこで、まさに、スマナー王女が、五百の車とともに、五百の王女たちに取り囲まれ、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、スマナー王女は、世尊に、こう言いました。

「尊き方よ、ここに、二者の、等しい信があり、等しい戒があり、等しい智慧がある、世尊の弟子が存在するとします。一者は、施者であり、一者は、施者ならざる者です。彼らは、身体の破壊ののち、死後において、善き境遇に、天上の世に、再生するとします。尊き方よ、また、天〔の神〕と成った彼らには、差異が存在し、多様性が存在するのでしょうか」と。

「スマナーよ、存在します」と、世尊は言いました。「スマナーよ、すなわち、施者である、その者ですが、彼は、天〔の神〕と成った者として存しつつ、その施者ならざる者を、五つの境位によって圧倒します⸺天の寿命によって、天の色艶によって、天の安楽によって、天の福徳(盛名)によって、天の権威によって。スマナーよ、すなわち、施者である、その者ですが、彼は、天〔の神〕と成った者として存しつつ、その施者ならざる者を、これらの五つの境位によって圧倒します」〔と〕

「尊き方よ、また、それで、もし、それらの二者が、そこから死滅し、この場に帰り来るなら、尊き方よ、また、人間と成った彼らには、差異が存在し、多様性が存在するのでしょうか」と。「スマナーよ、存在します」と、世尊は言いました。「スマナーよ、すなわち、施者である、その者ですが、彼は、人間と成った者として存しつつ、その施者ならざる者を、五つの境位によって圧倒します⸺人間の寿命によって、人間の色艶によって、人間の安楽によって、人間の福徳によって、人間の権威によって。スマナーよ、すなわち、施者である、その者ですが、彼は、人間と成った者として存しつつ、その施者ならざる者を、これらの五つの境位によって圧倒します」〔と〕

「尊き方よ、また、それで、もし、それらの二者が、家から家なきへと出家するなら、尊き方よ、また、出家した彼らには、差異が存在し、多様性が存在するのでしょうか」と。「スマナーよ、存在します」と、世尊は言いました。「スマナーよ、すなわち、施者である、その者ですが、彼は、出家した者として〔世に〕存しつつ、その施者ならざる者を、五つの境位によって圧倒します。(1)まさしく、〔納受を〕乞われ、多くの衣料を受益します⸺少しのものを、〔納受を〕乞われることなく〔遍く受益します〕〔受益します〕(2)まさしく、〔納受を〕乞われ、多くの〔行乞の〕施食を受益します⸺少しのものを、〔納受を〕乞われることなく〔遍く受益します〕〔受益します〕(3)まさしく、〔納受を〕乞われ、多くの臥坐具を受益します⸺少しのものを、〔納受を〕乞われることなく〔遍く受益します〕〔受益します〕(4)まさしく、〔納受を〕乞われ、多くの病のための日用品たる薬の必需品を受益します⸺少しのものを、〔納受を〕乞われることなく〔遍く受益します〕〔受益します〕(5)また、まさに、すなわち、梵行を共にする者たちと共に住むなら、彼らは、彼のために、まさしく、意に適う身体の行為によって、多くのことを実行します⸺少しのことを、意に適わない〔身体の行為〕によって〔実行します〕。まさしく、意に適う言葉の行為によって、多くのことを実行します⸺少しのことを、意に適わない〔言葉の行為〕によって〔実行します〕。まさしく、意に適う意の行為によって、多くのことを実行します⸺少しのことを、意に適わない〔意の行為〕によって〔実行します〕。まさしく、意に適うものとして、多くの提供物を提供します⸺少しのものを、意に適わないものとして〔提供します〕。スマナーよ、すなわち、施者である、その者ですが、彼は、出家した者として〔世に〕存しつつ、その施者ならざる者を、これらの五つの境位によって圧倒します」と。

「尊き方よ、また、それで、もし、それらの二者が、阿羅漢の資質に至り得るなら、尊き方よ、また、阿羅漢の資質に至り得た彼らには、差異が存在し、多様性が存在するのでしょうか」と。「スマナーよ、また、まさに、ここにおいて、これらの者たちには、何であれ、多様性を、わたしは説きません。すなわち、この、解脱と解脱には」と。

「尊き方よ、めったにないことです。尊き方よ、はじめてのことです。尊き方よ、そして、すなわち、これだけで、まさしく、諸々の布施を施すに十分なるものがあり、諸々の功徳を作り為すに十分なるものがあります。なぜなら、そこで、まさに、天〔の神〕と成った者にもまた、諸々の資益と功徳があり、人間と成った者にもまた、諸々の資益と功徳があり、出家した者にもまた、諸々の資益と功徳があるとは」と。「スマナーよ、このように、このことはあります。スマナーよ、まさに、諸々の布施を施すに十分なるものがあり、諸々の功徳を作り為すに十分なるものがあります。天〔の神〕と成った者にもまた、諸々の資益と功徳があり、人間と成った者にもまた、諸々の資益と功徳があり、出家した者にもまた、諸々の資益と功徳があります」と。

世尊は、この〔言葉〕を言いました。善き至達者は、この〔言葉〕を言って、そこで、他にも、教師は、こう言いました。

〔そこで、詩偈に言う〕「たとえば、また、無垢なる月が、虚空の界域を赴きつつ、世における一切の星の群れに、光によって輝きまさるように⸺

まさしく、そのように、戒を成就した信ある人士たる人は、世における一切の物惜〔の思い〕ある者たちに、施捨によって輝きまさる。

すなわち、また、〔雷鳴を〕鳴り響かせながら、雷光の花飾と百の雲峰ある雨雲が、大地に雨を降らせつつ、高地を〔潤し〕、そして、低地を潤すように⸺

このように、〔あるがままの〕見を成就した、正等覚者の弟子は、賢者として、物惜〔の思い〕ある者たちを、五つの境位によって圧倒する。

寿命によって、まさしく、そして、福徳によって、かつまた、色艶によって、さらに、安楽によって。彼は、まさに、財物に遍く取り囲まれ、死してのち、天上において歓喜する」と。

〔以上が〕第一となる。

注釈【0】