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翻訳【32】

ラッタパーラの経

このように、わたしは聞きました。或る時のことです。世尊は、クル〔国〕において、大いなる比丘の僧団と共に、遊行〔の旅〕を歩みながら、トゥッラコッティカという名のクル〔国〕の町のあるところに、そこへと至り着きました。まさに、トゥッラコッティカ〔町〕の婆羅門や家長たちは、「君よ、まさに、釈迦〔族〕の家から出家した、釈迦族の沙門ゴータマが、クル〔国〕において、大いなる比丘の僧団と共に、遊行〔の旅〕を歩みながら、トゥッラコッティカ〔町〕に到着したのだ。また、まさに、彼に、貴君ゴータマに、このように、善き評価の声が上がっている。『かくのごとくもまた、彼は、世尊は、阿羅漢であり、正等覚者であり、明知と行ないの成就者であり、善き至達者であり、世〔の一切〕を知る者であり、無上なる者であり、調御されるべき人の馭者であり、天〔の神々〕と人間たちの教師であり、覚者であり、世尊である』と。彼は、天を含み、魔を含み、梵を含み、沙門や婆羅門を含む、この世〔の人々〕に、天〔の神〕や人間を含む人々に、自ら、証知して、実証して、〔法を〕知らせる。彼は、法(教え)を説示する——最初が善きものとして、中間において善きものとして、結末が善きものとして、義(意味)を有するものとして、文(文型)を有するものとして、全一にして円満成就した完全なる清浄の梵行を明示する。また、まさに、善きかな、そのような形態の阿羅漢たちとの会見が有るのは」と耳にしました。そこで、まさに、トゥッラコッティカ〔町〕の婆羅門や家長たちは、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、一部の者たちはまた、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一部の者たちはまた、世尊を相手に共に挨拶しました。共に挨拶し記憶されるべき話を交わして、一方に坐りました。一部の者たちはまた、世尊のおられるところに、そこへと合掌を手向けて、一方に坐りました。一部の者たちはまた、世尊の現前において、名と姓を告げ聞かせて、一方に坐りました。一部の者たちはまた、沈黙の状態で、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、トゥッラコッティカ〔町〕の婆羅門や家長たちに、世尊は、法(教え)の講話によって、〔教えを〕見示し、受持させ、激励し、感動させました。

また、まさに、その時点にあって、まさしく、そのトゥッラコッティカ〔町〕における、至高の家の子である、ラッタパーラという名の良家の子息が、その衆において、坐った状態でいます。そこで、まさに、良家の子息であるラッタパーラに、この〔思い〕が有りました。「まさに、わたしが、世尊によって説示された法(教え)を了知する、そのとおり、そのとおりに、このことは、家に居住しながらでは、為し易きことではない——絶対的に円満成就した、絶対的に完全なる清浄の、法螺貝の磨きある〔完全無欠の〕梵行を歩むことは。それなら、さあ、わたしは、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家するのだ」と。そこで、まさに、トゥッラコッティカ〔町〕の婆羅門や家長たちは、世尊によって、法(教え)の講話によって、〔教えを〕見示され、受持させられ、激励され、感動させられ、世尊の語ったことを大いに喜んで、随喜して、坐から立ち上がって、世尊を敬拝して、右回り〔の礼〕を為して、立ち去りました。そこで、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、トゥッラコッティカ〔町〕の婆羅門や家長たちが立ち去ったすぐあと、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、世尊に、こう言いました。「尊き方よ、まさに、わたしが、世尊によって説示された法(教え)を了知する、そのとおり、そのとおりに、このことは、家に居住しながらでは、為し易きことではありません——絶対的に円満成就した、絶対的に完全なる清浄の、法螺貝の磨きある〔完全無欠の〕梵行を歩むことは。尊き方よ、わたしは、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家することを求めます。尊き方よ、わたしが、世尊の現前において、出家を得られますように——〔戒の〕成就を得られますように。尊き方よ、世尊は、わたしを出家させたまえ」と。「ラッタパーラよ、また、あなたは、母と父によって許された者として存していますか——家から家なきへと出家するために」と。「尊き方よ、まさに、わたしは、母と父によって許された者として存していません——家から家なきへと出家するために」と。「ラッタパーラよ、まさに、如来たちは、母と父によって許されていない子を出家させません」と。「尊き方よ、それなら、わたしは、そのとおりに為しましょう。すなわち、わたしのことを、母と父が許すことになるように——家から家なきへと出家するために」と。

そこで、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、坐から立ち上がって、世尊を敬拝して、右回り〔の礼〕を為して、母と父のいるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、母と父に、こう言いました。「母よ、父よ、まさに、わたしが、世尊によって説示された法(教え)を了知する、そのとおり、そのとおりに、このことは、家に居住しながらでは、為し易きことではありません——絶対的に円満成就した、絶対的に完全なる清浄の、法螺貝の磨きある〔完全無欠の〕梵行を歩むことは。わたしは、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家することを求めます。わたしのことをお許しください——家から家なきへと出家するために」と。このように説かれたとき、良家の子息であるラッタパーラの母と父は、良家の子息であるラッタパーラに、こう言いました。「息子よ、ラッタパーラよ、まさに、あなたは、わたしたちの独り子として存しています——安楽のうちに生長し、安楽のうちに養育された、愛しく意に適う者です。息子よ、ラッタパーラよ、あなたは、何であれ、苦しみのことを知りません。〔まさに〕その、わたしたちは、死によってもまた、欲することなく、別れ別れと成るでしょう。また、どうして、わたしたちが、生きているあなたを許せるというのでしょう——家から家なきへと出家するために」と。再度また、まさに、良家の子息であるラッタパーラは……略……。三度また、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、母と父に、こう言いました。「母よ、父よ、まさに、わたしが、世尊によって説示された法(教え)を了知する、そのとおり、そのとおりに、このことは、家に居住しながらでは、為し易きことではありません——絶対的に円満成就した、絶対的に完全なる清浄の、法螺貝の磨きある〔完全無欠の〕梵行を歩むことは。わたしは、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家することを求めます。わたしのことをお許しください——家から家なきへと出家するために」と。三度また、まさに、良家の子息であるラッタパーラの母と父は、良家の子息であるラッタパーラに、こう言いました。「息子よ、ラッタパーラよ、まさに、あなたは、わたしたちの独り子として存しています——安楽のうちに生長し、安楽のうちに養育された、愛しく意に適う者です。息子よ、ラッタパーラよ、あなたは、何であれ、苦しみのことを知りません。〔まさに〕その、わたしたちは、死によってもまた、欲することなく、別れ別れと成るでしょう。また、どうして、わたしたちが、生きているあなたを許せるというのでしょう——家から家なきへと出家するために」と。

そこで、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、「わたしのことを、母と父は許さない——家から家なきへと出家するために」と、まさしく、そこにおいて、何もない地面のうえに横たわりました。「まさしく、ここに、わたしに、死が有るであろう——あるいは、出家が」と。そこで、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、一食もまた食べず、二食もまた食べず、三食もまた食べず、四食もまた食べず、五食もまた食べず、六食もまた食べず、七食もまた食べませんでした。そこで、まさに、良家の子息であるラッタパーラの母と父は、良家の子息であるラッタパーラに、こう言いました。「息子よ、ラッタパーラよ、まさに、あなたは、わたしたちの独り子として存しています——安楽のうちに生長し、安楽のうちに養育された、愛しく意に適う者です。息子よ、ラッタパーラよ、あなたは、何であれ、苦しみのことを知りません。〔まさに〕その、わたしたちは、死によってもまた、欲することなく、別れ別れと成るでしょう。また、どうして、わたしたちが、生きているあなたを許せるというのでしょう——家から家なきへと出家するために。息子よ、ラッタパーラよ、立ち上がりなさい。そして、食べなさい、さらに、飲みなさい、かつまた、楽しみなさい。食べながら、飲みながら、楽しみながら、諸々の欲望〔の対象〕を遍く受益しながら、諸々の功徳を作り為しながら、喜び楽しむのです。あなたのことを、わたしたちは許しません——家から家なきへと出家するために。〔まさに〕その、わたしたちは、死によってもまた、欲することなく、別れ別れと成るでしょう。また、どうして、わたしたちが、生きているあなたを許せるというのでしょう——家から家なきへと出家するために」と。このように説かれたとき、良家の子息であるラッタパーラは、沈黙の者と成りました。再度また、まさに、良家の子息であるラッタパーラの母と父は、良家の子息であるラッタパーラに、こう言いました。……略……。再度また、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、沈黙の者と成りました。三度また、まさに、良家の子息であるラッタパーラの母と父は、良家の子息であるラッタパーラに、こう言いました。「息子よ、ラッタパーラよ、まさに、あなたは、わたしたちの独り子として存しています——安楽のうちに生長し、安楽のうちに養育された、愛しく意に適う者です。息子よ、ラッタパーラよ、あなたは、何であれ、苦しみのことを知りません。〔まさに〕その、わたしたちは、死によってもまた、欲することなく、別れ別れと成るでしょう。また、どうして、わたしたちが、生きているあなたを許せるというのでしょう——家から家なきへと出家するために。息子よ、ラッタパーラよ、立ち上がりなさい。そして、食べなさい、さらに、飲みなさい、かつまた、楽しみなさい。食べながら、飲みながら、楽しみながら、諸々の欲望〔の対象〕を遍く受益しながら、諸々の功徳を作り為しながら、喜び楽しむのです。あなたのことを、わたしたちは許しません——家から家なきへと出家するために。〔まさに〕その、わたしたちは、死によってもまた、欲することなく、別れ別れと成るでしょう。また、どうして、わたしたちが、生きているあなたを許せるというのでしょう——家から家なきへと出家するために」と。三度また、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、沈黙の者と成りました。

そこで、まさに、良家の子息であるラッタパーラの道友たちは、良家の子息であるラッタパーラのいるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、良家の子息であるラッタパーラに、こう言いました。「友よ、ラッタパーラよ、まさに、あなたは、母と父の独り子として存しています——安楽のうちに生長し、安楽のうちに養育された、愛しく意に適う者です。友よ、ラッタパーラよ、あなたは、何であれ、苦しみのことを知りません。〔まさに〕その、母と父は、死によってもまた、欲することなく、別れ別れと成るでしょう。また、どうして、彼らが、生きているあなたを許せるというのでしょう——家から家なきへと出家するために。友よ、ラッタパーラよ、立ち上がりなさい。そして、食べなさい、さらに、飲みなさい、かつまた、楽しみなさい。食べながら、飲みながら、楽しみながら、諸々の欲望〔の対象〕を遍く受益しながら、諸々の功徳を作り為しながら、喜び楽しむのです。あなたのことを、母と父は許しません——家から家なきへと出家するために。〔まさに〕その、母と父は、死によってもまた、欲することなく、別れ別れと成るでしょう。また、どうして、彼らが、生きているあなたを許せるというのでしょう——家から家なきへと出家するために」と。このように説かれたとき、良家の子息であるラッタパーラは、沈黙の者と成りました。再度また、まさに、良家の子息であるラッタパーラの道友たちは、良家の子息であるラッタパーラに、こう言いました。……略……。再度また、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、沈黙の者と成りました。三度また、まさに、良家の子息であるラッタパーラの道友たちは、良家の子息であるラッタパーラに、こう言いました。「友よ、ラッタパーラよ、まさに、あなたは、母と父の独り子として存しています——安楽のうちに生長し、安楽のうちに養育された、愛しく意に適う者です。友よ、ラッタパーラよ、あなたは、何であれ、苦しみのことを知りません。〔まさに〕その、母と父は、死によってもまた、欲することなく、別れ別れと成るでしょう。また、どうして、彼らが、生きているあなたを許せるというのでしょう——家から家なきへと出家するために。友よ、ラッタパーラよ、立ち上がりなさい。そして、食べなさい、さらに、飲みなさい、かつまた、楽しみなさい。食べながら、飲みながら、楽しみながら、諸々の欲望〔の対象〕を遍く受益しながら、諸々の功徳を作り為しながら、喜び楽しむのです。あなたのことを、母と父は許しません——家から家なきへと出家するために。〔まさに〕その、母と父は、死によってもまた、欲することなく、別れ別れと成るでしょう。また、どうして、彼らが、生きているあなたを許せるというのでしょう——家から家なきへと出家するために」と。三度また、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、沈黙の者と成りました。

そこで、まさに、良家の子息であるラッタパーラの道友たちは、良家の子息であるラッタパーラの母と父のいるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、良家の子息であるラッタパーラの母と父に、こう言いました。「母よ、父よ、この者は、良家の子息であるラッタパーラは、まさしく、そこにおいて、何もない地面のうえに横たわっています。『まさしく、ここに、わたしに、死が有るであろう——あるいは、出家が』と。それで、もし、あなたたちが、良家の子息であるラッタパーラを許さないなら——家から家なきへと出家するために——まさしく、そこにおいて、死がやってくるでしょう。また、それで、もし、あなたたちが、良家の子息であるラッタパーラを許すなら——家から家なきへと出家するために——たとえ、出家したとして、彼を見るでしょう。それで、もし、良家の子息であるラッタパーラが喜び楽しまないなら——家から家なきへと出家するために——彼の赴く所として、他に、何が有るというのでしょう。まさしく、ここに、戻り来るでしょう。良家の子息であるラッタパーラを許したまえ——家から家なきへと出家するために」と。「親愛なる者たちよ、良家の子息であるラッタパーラを許します——家から家なきへと出家するために。また、そして、出家したなら、〔彼によって〕母と父が訓戒されるべきです」と。そこで、まさに、良家の子息であるラッタパーラの道友たちは、良家の子息であるラッタパーラのいるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、良家の子息であるラッタパーラに、こう言いました。「友よ、ラッタパーラよ、立ち上がりなさい。母と父によって許された者として、〔あなたは〕存しています——家から家なきへと出家するために。また、そして、出家したなら、〔あなたによって〕母と父が訓戒されるべきです」と。

そこで、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、立ち上がって、活力をつけて、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、良家の子息であるラッタパーラは、世尊に、こう言いました。「尊き方よ、わたしは、母と父によって許されました——家から家なきへと出家するために。世尊は、わたしを出家させたまえ」と。良家の子息であるラッタパーラは、世尊の現前において、出家を得ました——〔戒の〕成就を得ました。そこで、まさに、世尊は、〔戒を〕成就したばかりの尊者ラッタパーラが、〔戒の〕成就から半月となるとき、トゥッラコッティカにおいて、喜びのままに住んで〔そののち〕、サーヴァッティーのあるところに、そこへと遊行〔の旅〕に出ました。順次に遊行〔の旅〕を歩みながら、サーヴァッティーのあるところに、そこへと至り着きました。そこで、まさに、世尊は、サーヴァッティーに住んでおられます。ジェータ林のアナータピンディカ〔長者〕の林園において。そこで、まさに、尊者ラッタパーラは、独り、〔静所に〕隠棲し、〔気づきを〕怠らず、熱情ある者となり、自己を精励する者として〔世に〕住んでいると、まさしく、長からずして——その義(目的)のために、良家の子息たちが、まさしく、正しく、家から家なきへと出家する、〔まさに〕その、梵行の結末という無上なるものを、まさしく、所見の法(現世)において、自ら、証知して、実証して、成就して、〔世に〕住みました。「生は滅尽し、梵行は完成された。為すべきことは為された。〔もはや〕他に、この場へと〔赴くことは〕ない」と証知しました。また、まさに、尊者ラッタパーラは、阿羅漢たちのなかの或るひとりと成りました。

そこで、まさに、尊者ラッタパーラは、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、尊者ラッタパーラは、世尊に、こう言いました。「尊き方よ、わたしは、母と父を訓戒することを求めます。それで、もし、わたしのことを、世尊がお許しになるなら」と。そこで、まさに、世尊は、尊者ラッタパーラに、心をとおして、心を探知して、意を為しました。世尊は、「まさに、良家の子息であるラッタパーラは、学びを拒絶して、下劣なところへと逆戻りすることは有りえない(戒を捨てて還俗することはない)」と、そのとおりに了知しました。そこで、まさに、世尊は、尊者ラッタパーラに、こう言いました。「ラッタパーラよ、今が、そのための時と、あなたが思うのなら〔思いのままに〕」と。そこで、まさに、尊者ラッタパーラは、坐から立ち上がって、世尊を敬拝して、右回り〔の礼〕を為して、臥坐具をたたんで、鉢と衣料を取って、トゥッラコッティカのあるところに、そこへと遊行〔の旅〕に出ました。順次に遊行〔の旅〕を歩みながら、トゥッラコッティカのあるところに、そこへと至り着きました。そこで、まさに、尊者ラッタパーラは、トゥッラコッティカに住んでいます。コーラブヤ王のミガチーラ〔園〕において。そこで、まさに、尊者ラッタパーラは、早刻時に、着衣して鉢と衣料を取って、トゥッラコッティカに〔行乞の〕食のために入りました。トゥッラコッティカにおいて、歩々淡々と〔行乞の〕食のために歩みながら、自らの父の住居地のあるところに、そこへと近づいて行きました。また、まさに、その時点にあって、尊者ラッタパーラの父は、中央の門堂において、〔髪を〕梳かせています。まさに、尊者ラッタパーラの父は、尊者ラッタパーラが、はるか遠くから、やってくるのを見ました。見て、こう言いました。「これらの坊主頭の似非沙門たちによって、わたしたちの愛しく意に適う独り子が出家させられたのだ」と。そこで、まさに、尊者ラッタパーラは、自らの父の住居地において、まさしく、布施を得ることもなく、拒絶を〔得ることも〕ありませんでした。何はともあれ、まさしく、罵倒を得ましたが。また、まさに、その時点にあって、尊者ラッタパーラの親族の奴婢が、昨夜の粥を捨て放つことを欲する者として〔世に〕有ります。そこで、まさに、尊者ラッタパーラは、その親族の奴婢に、こう言いました。「姉妹よ、それで、もし、それが、捨て放つべき法(事象)であるなら、ここに、わたしの鉢のなかに降り注ぎたまえ」と。そこで、まさに、尊者ラッタパーラの親族の奴婢は、その昨夜の粥を、尊者ラッタパーラの鉢のなかに降り注ぎながら、そして、〔両の〕手の、かつまた、〔両の〕足の、さらに、声の、形相を収め取りました。

そこで、まさに、尊者ラッタパーラの親族の奴婢は、尊者ラッタパーラの母のいるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、尊者ラッタパーラの母に、こう言いました。「尊貴なる方よ、どうか、お知りください。ご子息のラッタパーラ様が、到着されたのです」と。「さて、それで、もし、〔あなたが〕真理(真実)を話しているなら、あなたを、奴婢ならざる者と為しましょう」と。そこで、まさに、尊者ラッタパーラの母は、尊者ラッタパーラの父のいるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、尊者ラッタパーラの父に、こう言いました。「家長よ、どうか、お知りください。どうやら、良家の子息であるラッタパーラが、到着したらしいのです」と。また、まさに、その時点にあって、尊者ラッタパーラは、その昨夜の粥を、或るどこかの壁の根元に依拠して遍く受益しています。そこで、まさに、尊者ラッタパーラの父は、尊者ラッタパーラのいるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、尊者ラッタパーラに、こう言いました。「息子よ、ラッタパーラよ、まさに、〔おまえが〕昨夜の粥を遍く受益することになる、〔このようなことが〕存するとは。息子よ、ラッタパーラよ、まさに、〔おまえは〕自らの家に赴くべきではないのか」と。「家長よ、家から家なきへと出家した者たちである、まさに、わたしたちに、どうして、家があるというのでしょう。家長よ、わたしたちは、家なき者たちです。家長よ、まさに、〔わたしは〕あなたの家に赴きました。そこにおいて、まさしく、布施を得ることもなく、拒絶を〔得ることも〕ありませんでした。何はともあれ、まさしく、罵倒を得ましたが」と。「息子よ、ラッタパーラよ、さあ、〔わたしたちは〕家に赴くのだ」と。「家長よ、十分です。わたしよって、今日、食事についての為すべきことは〔すでに〕為されました」と。「息子よ、ラッタパーラよ、まさに、それでは、明日、食事〔の布施〕を受けなさい」と。まさに、尊者ラッタパーラは、沈黙の状態をもって承諾しました。そこで、まさに、尊者ラッタパーラの父は、尊者ラッタパーラの承諾を見出して、自らの住居地のあるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、大いなる金貨と黄金の集塊を作らせて、諸々の敷物で覆って、尊者ラッタパーラの以前の伴侶たちに告げました。「嫁たちよ、さあ、おまえたちが、すなわち、過去において、〔その〕外装品によって、〔装いを〕十分に作り為したなら、良家の子息であるラッタパーラにとって愛しく意に適う者たちと成る、〔まさに〕その、外装品によって、〔装いを〕十分に作り為すのだ」と。

そこで、まさに、尊者ラッタパーラの父は、その夜が明けると、自らの住居地において、上質の固形の食料や軟らかい食料を準備して、尊者ラッタパーラに、時を告げました。「息子よ、ラッタパーラよ、時だ。食事ができた」と。そこで、まさに、尊者ラッタパーラは、早刻時に、着衣して鉢と衣料を取って、自らの父の住居地のあるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、設けられた坐に坐りました。そこで、まさに、尊者ラッタパーラの父は、その金貨と黄金の集塊を開示させて、尊者ラッタパーラに、こう言いました。「息子よ、ラッタパーラよ、これは、おまえの祖母の財だ。父祖のものとは他のものだ。祖父のものとは他のものだ。息子よ、ラッタパーラよ、かつまた、諸々の財物を享受することも、かつまた、諸々の功徳を作り為すことも、できるのだ。息子よ、ラッタパーラよ、さあ、おまえは、下劣なところへと逆戻りして、かつまた、諸々の財物を享受し、かつまた、諸々の功徳を作り為すのだ」と。「家長よ、それで、もし、あなたが、わたしの言葉を為すであろうなら、この金貨と黄金の集塊を、荷車に載せて、運び出して、ガンガー川の流れの中に沈めてください。それは、何を因とするのですか。家長よ、なぜなら、すなわち、あなたに、それを因縁として、諸々の憂いと嘆きと苦痛と失意と葛藤(愁悲苦憂悩)が生起するであろうからです」と。そこで、まさに、尊者ラッタパーラの以前の伴侶たちが、各自に、〔尊者ラッタパーラの両の〕足を掴んで、尊者ラッタパーラに、こう言いました。「旦那様、どのような者たちなのですか——あなたが、彼女たちを因として、梵行を歩む、まさに、それらの仙女たちは」と。「姉妹たちよ、まさに、わたしたちは、仙女たちを因として、梵行を歩みません」と。「『姉妹たちよ』という言い方によって、旦那様は、ラッタパーラは、わたしたちを呼び慣わす」と、彼女たちは、まさしく、そこにおいて、気絶し、倒れ落ちました。そこで、まさに、尊者ラッタパーラは、父に、こう言いました。「家長よ、それで、もし、食料が施されるべきであるなら、施したまえ。わたしたちを悩ましてはいけません」と。「息子よ、ラッタパーラよ、出来上がった食事を食べなさい」と。そこで、まさに、尊者ラッタパーラの父は、尊者ラッタパーラを、上質の固形の食料や軟らかい食料で満足させ、自らの手で給仕しました。

そこで、まさに、尊者ラッタパーラは、食事を終え、鉢から手を離すと、まさしく、立った〔状態〕で、これらの詩偈を語りました。

〔そこで、詩偈に言う〕「見よ——彩りあざやかに作り為された〔欲の〕幻影を——寄せ集めの、傷ある身体を——病んだ、妄想多きものを。それに、常恒と止住は、〔何であれ〕存在しない。

見よ——彩りあざやかに作り為された〔虚妄の〕形態を——そして、宝珠や耳飾によって〔飾り立てられ〕、骨と皮で覆われた〔不浄の身体〕を。諸々の衣と共にあって、美しく輝く〔だけのこと〕

〔赤の〕染料が為された〔両の〕足、〔白の〕塗粉が塗られた顔——愚者の迷いのためには、〔それで〕十分である。しかしながら、彼岸を探し求める者には、さにあらず。

八房に為された諸々の髪、〔黒の〕塗料をつけた〔両の〕眼——愚者の迷いのためには、〔それで〕十分である。しかしながら、彼岸を探し求める者には、さにあらず。

彩りあざやかな新しい塗料箱のように、〔装いを〕十分に作り為した腐敗の身体——愚者の迷いのためには、〔それで〕十分である。しかしながら、彼岸を探し求める者には、さにあらず。

猟師は、罠を置いた。鹿は、網に近寄らなかった。『餌を食べて、〔わたしたちは〕去り行くのだ——鹿の捕捉者が泣き叫んでいるところを』」と。

そこで、まさに、尊者ラッタパーラは、まさしく、立った〔状態〕で、これらの詩偈を語って、コーラブヤ王のミガチーラ〔園〕のあるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、或るどこかの木の根元において、昼の休息のために坐りました。

そこで、まさに、コーラブヤ王は、ミガヴァ(園の番人)に告げました。「友よ、ミガヴァよ、ミガチーラ〔園〕の庭園を清めよ。美しき地を見るために、〔わたしたちは〕赴くのだ」と。「陛下よ、わかりました」と、まさに、ミガヴァは、コーラブヤ王に答えて、ミガチーラ〔園〕を清めながら、尊者ラッタパーラが、或るどこかの木の根元において、昼の休息のために坐っているのを見ました。見て、コーラブヤ王のいるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、コーラブヤ王に、こう言いました。「陛下よ、まさに、あなたのために、ミガチーラ〔園〕は清められました。ですが、ここにおいて、まさしく、このトゥッラコッティカ〔町〕における、至高の家の子である、ラッタパーラという名の良家の子息が存します。あなたは、彼のことを、幾度となく賛じ称えながら〔世に〕有りました。彼は、或るどこかの木の根元において、昼の休息のために坐っています」と。「友よ、ミガヴァよ、まさに、それでは、今や、今日はもう、庭園の地のことは十分だ。今や、わたしたちは、まさしく、彼に、貴君ラッタパーラに奉侍するのだ」と。そこで、まさに、コーラブヤ王は、「すなわち、そこにおいて、固形の食料や軟らかい食料が準備されたなら、それを、全て、送り出すのだ」と説いて、諸々の立派なうえにも立派な乗物を設えて、立派な乗物に乗って、諸々の立派なうえにも立派な乗物とともに、トゥッラコッティカ〔町〕から出発しました——大いなる王の威力をもって、尊者ラッタパーラと会見するために。およそ、乗物の〔行ける〕地があるかぎり、乗物によって赴いて、乗物から降りて、まさしく、徒歩の者となり、尊者ラッタパーラのいるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、尊者ラッタパーラを相手に共に挨拶しました。共に挨拶し記憶されるべき話を交わして、一方に立ちました。一方に立った、まさに、コーラブヤ王は、尊者ラッタパーラに、こう言いました。「ラッタパーラよ、貴君は、ここに、象の敷物に坐りたまえ」と。「大王よ、十分です。あなたが坐ってください。わたしは、自らの坐に坐っています」と。コーラブヤ王は、設けられた坐に坐りました。坐って、まさに、コーラブヤ王は、尊者ラッタパーラに、こう言いました。

「貴君ラッタパーラよ、四つのものがあります。これらの衰亡です。それらの衰亡を具備したなら、ここに、一部の者たちは、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家します。どのようなものが、四つのものなのですか。老の衰亡であり、病の衰亡であり、財物の衰亡であり、親族の衰亡です。貴君ラッタパーラよ、では、どのようなものが、老の衰亡なのですか。貴君ラッタパーラよ、ここに、一部の者は、老い朽ち、年長となり、老練にして、歳月を重ね、年齢を加えた者として〔世に〕有ります。彼は、かくのごとく深慮します。『わたしは、まさに、今現在、老い朽ち、年長となり、老練にして、歳月を重ね、年齢を加えた者として〔世に〕存している。また、まさに、わたしによって、あるいは、〔いまだ〕到達していない財物に到達することは、あるいは、〔すでに〕到達している財物に増殖を為すことは、為し易きことではない。それなら、さあ、わたしは、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家するのだ』と。彼は、その老の衰亡を具備した者として、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家します。貴君ラッタパーラよ、これは、老の衰亡と説かれます。また、まさに、貴君ラッタパーラは、今現在、年少の者であり、若者であり、若き黒髪の者であり、幸いなる若さの初年期(青年期)を具備した者です。貴君ラッタパーラに、その老の衰亡は存在しません。貴君ラッタパーラは、何を、あるいは、知って、あるいは、見て、あるいは、聞いて、家から家なきへと出家したのですか。

貴君ラッタパーラよ、では、どのようなものが、病の衰亡なのですか。貴君ラッタパーラよ、ここに、一部の者は、病苦の者となり、苦しみの者となり、激しい病の者となり、〔世に〕有ります。彼は、かくのごとく深慮します。『わたしは、まさに、今現在、病苦の者となり、苦しみの者となり、激しい病の者となり、〔世に〕存している。また、まさに、わたしによって、あるいは、〔いまだ〕到達していない財物に到達することは、あるいは、〔すでに〕到達している財物に増殖を為すことは、為し易きことではない。それなら、さあ、わたしは、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家するのだ』と。彼は、その病の衰亡を具備した者として、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家します。貴君ラッタパーラよ、これは、病の衰亡と説かれます。また、まさに、貴君ラッタパーラは、今現在、病苦少なき者であり、病悩少なき者であり、寒過ぎず暑過ぎず正しく消化する消化器官を具備した者です。貴君ラッタパーラに、その病の衰亡は存在しません。貴君ラッタパーラは、何を、あるいは、知って、あるいは、見て、あるいは、聞いて、家から家なきへと出家したのですか。

貴君ラッタパーラよ、では、どのようなものが、財物の衰亡なのですか。貴君ラッタパーラよ、ここに、一部の者は、富裕で、大いなる財産があり、大いなる財物がある者として〔世に〕有ります。彼の、それらの財物が、順次に、完全なる滅尽に至ります。彼は、かくのごとく深慮します。『わたしは、まさに、過去において、富裕で、大いなる財産があり、大いなる財物がある者として〔世に〕有った。〔まさに〕その、わたしの、それらの財物は、順次に、完全なる滅尽に至ったのだ。また、まさに、わたしによって、あるいは、〔いまだ〕到達していない財物に到達することは、あるいは、〔すでに〕到達している財物に増殖を為すことは、為し易きことではない。それなら、さあ、わたしは、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家するのだ』と。彼は、その財物の衰亡を具備した者として、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家します。貴君ラッタパーラよ、これは、財物の衰亡と説かれます。また、まさに、貴君ラッタパーラは、まさしく、このトゥッラコッティカ〔町〕における、至高の家の子です。貴君ラッタパーラに、その財物の衰亡は存在しません。貴君ラッタパーラは、何を、あるいは、知って、あるいは、見て、あるいは、聞いて、家から家なきへと出家したのですか。

貴君ラッタパーラよ、では、どのようなものが、親族の衰亡なのですか。貴君ラッタパーラよ、ここに、一部の者には、多くの、朋友や僚友たちが〔有り〕、親族や血縁たちが有ります。彼の、それらの親族たちが、順次に、完全なる滅尽に至ります。彼は、かくのごとく深慮します。『わたしには、まさに、過去において、多くの、朋友や僚友たちが〔有り〕、親族や血縁たちが有った。〔まさに〕その、わたしの、それらの親族たちは、順次に、完全なる滅尽に至ったのだ。また、まさに、わたしによって、あるいは、〔いまだ〕到達していない財物に到達することは、あるいは、〔すでに〕到達している財物に増殖を為すことは、為し易きことではない。それなら、さあ、わたしは、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家するのだ』と。彼は、その親族の衰亡を具備した者として、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家します。貴君ラッタパーラよ、これは、親族の衰亡と説かれます。また、まさに、貴君ラッタパーラには、まさしく、このトゥッラコッティカ〔町〕において、多くの、朋友や僚友たちがいますし、親族や血縁たちがいます。貴君ラッタパーラに、その親族の衰亡は存在しません。貴君ラッタパーラは、何を、あるいは、知って、あるいは、見て、あるいは、聞いて、家から家なきへと出家したのですか。

貴君ラッタパーラよ、まさに、これらの四つの衰亡があります。それらの衰亡を具備したなら、ここに、一部の者たちは、髪と髭を剃り落として、諸々の黄褐色の衣をまとって、家から家なきへと出家します。貴君ラッタパーラに、それらは存在しません。貴君ラッタパーラは、何を、あるいは、知って、あるいは、見て、あるいは、聞いて、家から家なきへと出家したのですか」と。

「大王よ、まさに、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、四つの法(教え)の誦説が誦説され、存在します。わたしは、それらを、かつまた、知って、かつまた、見て、かつまた、聞いて、家から家なきへと出家したのです。どのようなものが、四つのものなのですか。大王よ、『世〔界〕は、常恒ならざるものとして導かれる』と、まさに、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、第一の法(教え)の誦説が誦説されました。わたしは、それを、かつまた、知って、かつまた、見て、かつまた、聞いて、家から家なきへと出家したのです。大王よ、『世〔界〕は、救いなく、主権なきものである』と、まさに、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、第二の法(教え)の誦説が誦説されました。わたしは、それを、かつまた、知って、かつまた、見て、かつまた、聞いて、家から家なきへと出家したのです。大王よ、『世〔界〕は、自らのものなく、一切を捨棄して赴くべきである』と、まさに、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、第三の法(教え)の誦説が誦説されました。わたしは、それを、かつまた、知って、かつまた、見て、かつまた、聞いて、家から家なきへと出家したのです。大王よ、『世〔界〕は、不足のものであり、満足なきものであり、渇愛の奴隷である』と、まさに、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、第四の法(教え)の誦説が誦説されました。わたしは、それを、かつまた、知って、かつまた、見て、かつまた、聞いて、家から家なきへと出家したのです。大王よ、まさに、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、これらの四つの法(教え)の誦説が誦説されました。わたしは、それらを、かつまた、知って、かつまた、見て、かつまた、聞いて、家から家なきへと出家したのです」と。

「『世〔界〕は、常恒ならざるものとして導かれる』と、貴君ラッタパーラは言いました。貴君ラッタパーラよ、この語られたことの義(意味)は、どのように見られるべきですか」と。「大王よ、それを、どう思いますか。あなたは、齢二十年の時はまた、齢二十五年の時はまた、象についてもまた通じた者であり、馬についてもまた通じた者であり、車についてもまた通じた者であり、弓についてもまた通じた者であり、剣についてもまた通じた者であり、腿に力があり、腕に力があり、十分なる自己があり、戦場を行境とする者として〔世に〕有りましたか」と。「貴君ラッタパーラよ、わたしは、齢二十年の時はまた、齢二十五年の時はまた、象についてもまた通じた者であり、馬についてもまた通じた者であり、車についてもまた通じた者であり、弓についてもまた通じた者であり、剣についてもまた通じた者であり、についてもまた通じた者であり、腿に力があり、腕に力があり、十分なる自己があり、戦場を行境とする者として〔世に〕有りました。貴君ラッタパーラよ、或る時にあってはまた、思うに、神通ある者であるかのように、自己の力と等しく同等の者を等しく随観しません」と。「大王よ、それを、どう思いますか。まさしく、このように、あなたは、今現在、腿に力があり、腕に力があり、十分なる自己があり、戦場を行境とする者ですか」と。「貴君ラッタパーラよ、まさに、このことは、さにあらず。今現在、老い朽ち、年長となり、老練にして、歳月を重ね、年齢を加えた、八十歳の者となり、わたしには、衰失が転起します。貴君ラッタパーラよ、或る時にあってはまた、『ここに、足を為すのだ』と、まさしく、他のところに、足を為します」と。「大王よ、まさに、それに関して、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、この〔言葉〕が語られました。『世〔界〕は、常恒ならざるものとして導かれる』と。わたしは、それを、かつまた、知って、かつまた、見て、かつまた、聞いて、家から家なきへと出家したのです」と。「貴君ラッタパーラよ、めったにないことです。貴君ラッタパーラよ、はじめてのことです。貴君ラッタパーラよ、さてまた、すなわち、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、これほどまでに、見事に語られたのは。『世〔界〕は、常恒ならざるものとして導かれる』と。貴君ラッタパーラよ、まさに、世〔界〕は、常恒ならざるものとして導かれます。

貴君ラッタパーラよ、まさに、この王の家においては、象の兵団もまた、馬の兵団もまた、車の兵団もまた、歩兵の兵団もまた、等しく見出されます。わたしたちに、諸々の逆境あるときに、防衛のために転起するでしょう。『世〔界〕は、救いなく、主権なきものである』と、貴君ラッタパーラは言いました。貴君ラッタパーラよ、また、この語られたことの義(意味)は、どのように見られるべきですか」と。「大王よ、それを、どう思いますか。あなたに、何であれ、慢性の病苦は存在しますか」と。「貴君ラッタパーラよ、わたしに、慢性の病苦は存在します。貴君ラッタパーラよ、或る時にあってはまた、朋友や僚友たちが、親族や血縁たちが、わたしを取り囲んで立った状態でいます。『今や、コーラブヤ王は、命を終えるであろう。今や、コーラブヤ王は、命を終えるであろう』」と。「大王よ、それを、どう思いますか。あなたは得ますか——それらの、朋友や僚友たち〔の承諾〕を、親族や血縁たち〔の承諾〕を。『わたしの尊き、朋友や僚友たちよ、親族や血縁たちよ、到来したまえ。存している、まさしく、全ての者たちが、この〔苦痛の〕感受を分与するのだ。すなわち、わたしが、より軽い〔苦痛の〕感受を感受するべく』と〔言うも〕。それとも、まさしく、あなたが、その〔苦痛の〕感受を感受しますか」と。「貴君ラッタパーラよ、わたしは得ません——それらの、朋友や僚友たち〔の承諾〕を、親族や血縁たち〔の承諾〕を。『わたしの尊き、朋友や僚友たちよ、親族や血縁たちよ、到来したまえ。存している、まさしく、全ての者たちが、この〔苦痛の〕感受を分与するのだ。すなわち、わたしが、より軽い〔苦痛の〕感受を感受するべく』と〔言うも〕。そこで、まさに、まさしく、わたしが、その〔苦痛の〕感受を感受します」と。「大王よ、まさに、それに関して、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、この〔言葉〕が語られました。『世〔界〕は、救いなく、主権なきものである』と。わたしは、それを、かつまた、知って、かつまた、見て、かつまた、聞いて、家から家なきへと出家したのです」と。「貴君ラッタパーラよ、めったにないことです。貴君ラッタパーラよ、はじめてのことです。貴君ラッタパーラよ、さてまた、すなわち、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、これほどまでに、見事に語られたのは。『世〔界〕は、救いなく、主権なきものである』と。貴君ラッタパーラよ、まさに、世〔界〕は、救いなく、主権なきものです。

貴君ラッタパーラよ、まさに、この王の家においては、多大なる金貨と黄金が、かつまた、地に在るものも、かつまた、宙に在るものも、等しく見出されます。『世〔界〕は、自らのものなく、一切を捨棄して去り行くべきものである』と、貴君ラッタパーラは言いました。貴君ラッタパーラよ、また、この語られたことの義(意味)は、どのように見られるべきですか」と。「大王よ、それを、どう思いますか。すなわち、あなたが、今現在、五つの欲望の属性(五妙欲)を供与され、保有する者と成り、〔それらを〕楽しむように、あなたは、他所(来世)においてもまた、〔それらを〕得るでしょうか。『まさしく、このように、わたしは、まさしく、これらの五つの欲望の属性を供与され、保有する者と成り、〔それらを〕楽しむのだ』と〔言うも〕。それとも、他者たちが、この財物を収め、いっぽう、あなたは、行為()のとおりに赴くことになりますか」と。「貴君ラッタパーラよ、すなわち、わたしが、今現在、五つの欲望の属性を供与され、保有する者と成り、〔それらを〕楽しむように、わたしは、他所(来世)においてもまた、〔それらを〕得ることはありません。『まさしく、このように、わたしは、まさしく、これらの五つの欲望の属性を供与され、保有する者と成り、〔それらを〕楽しむのだ』と〔言うも〕。そこで、まさに、他者たちが、この財物を収め、いっぽう、わたしは、行為のとおりに赴くことになります」と。「大王よ、まさに、それに関して、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、この〔言葉〕が語られました。『世〔界〕は、自らのものなく、一切を捨棄して去り行くべきものである』と。わたしは、それを、かつまた、知って、かつまた、見て、かつまた、聞いて、家から家なきへと出家したのです」と。「貴君ラッタパーラよ、めったにないことです。貴君ラッタパーラよ、はじめてのことです。貴君ラッタパーラよ、さてまた、すなわち、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、これほどまでに、見事に語られたのは。『世〔界〕は、自らのものなく、一切を捨棄して去り行くべきものである』と。貴君ラッタパーラよ、まさに、世〔界〕は、自らのものなく、一切を捨棄して去り行くべきものです。

『世〔界〕は、不足のものであり、満足なきものであり、渇愛の奴隷である』と、貴君ラッタパーラは言いました。貴君ラッタパーラよ、また、この語られたことの義(意味)は、どのように見られるべきですか」と。「大王よ、それを、どう思いますか。〔あなたは〕繁栄するクル〔国〕に居住していますか」と。「貴君ラッタパーラよ、そのとおりです。〔わたしは〕繁栄するクル〔国〕に居住しています」と。「大王よ、それを、どう思いますか。ここに、東の方角から、人が、あなたのもとにやってくるとします。信を置ける頼りになる者です。彼は、近づいて行って、あなたに、このように説くとします。『大王よ、どうか、知りたまえ。わたしは、東の方角からやってきます。そこにおいて、〔わたしは〕見ました——大いなる地方を、まさしく、そして、繁栄し、さらに、興隆し、多くの人々がいて、人間たちで満ち溢れる〔地方〕を。そこにおいては、多くの、象の兵団があり、馬の兵団があり、車の兵団があり、歩兵の兵団があり、そこにおいては、多くの財産と穀物があり、そこにおいては、多くの金貨と黄金が、まさしく、そして、〔加工が〕為されていないものもあり、さらに、〔加工が〕為されたものもあり、そこにおいては、多くの婦女と妻たちがいます。そして、まさしく、〔現有する〕そのかぎりの軍隊のみで征圧することができます。大王よ、征服したまえ』と。それを、どのようなものと為しますか」と。「貴君ラッタパーラよ、わたしたちは、それをもまた征圧して、居住するでしょう」と。大王よ、それを、どう思いますか。ここに、西の方角から……北の方角から……南の方角から、人が、あなたのもとにやってくるとします。信を置ける頼りになる者です。彼は、近づいて行って、あなたに、このように説くとします。『大王よ、どうか、知りたまえ。わたしは、南の方角からやってきます。そこにおいて、〔わたしは〕見ました——大いなる地方を、まさしく、そして、繁栄し、さらに、興隆し、多くの人々がいて、人間たちで満ち溢れる〔地方〕を。そこにおいては、多くの、象の兵団があり、馬の兵団があり、車の兵団があり、歩兵の兵団があり、そこにおいては、多くの財産と穀物があり、そこにおいては、多くの金貨と黄金が、まさしく、そして、〔加工が〕為されていないものもあり、さらに、〔加工が〕為されたものもあり、そこにおいては、多くの婦女と妻たちがいます。そして、まさしく、〔現有する〕そのかぎりの軍隊のみで征圧することができます。大王よ、征服したまえ』と。それを、どのようなものと為しますか」と。「貴君ラッタパーラよ、わたしたちは、それをもまた征圧して、居住するでしょう」と。「大王よ、まさに、それに関して、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、この〔言葉〕が語られました。『世〔界〕は、不足のものであり、満足なきものであり、渇愛の奴隷である』と。わたしは、それを、かつまた、知って、かつまた、見て、かつまた、聞いて、家から家なきへと出家したのです」と。「貴君ラッタパーラよ、めったにないことです。貴君ラッタパーラよ、はじめてのことです。貴君ラッタパーラよ、さてまた、すなわち、彼によって、〔あるがままに〕知り見る阿羅漢にして正等覚者たる世尊によって、これほどまでに、見事に語られたのは。『世〔界〕は、不足のものであり、満足なきものであり、渇愛の奴隷である』と。貴君ラッタパーラよ、まさに、世〔界〕は、不足のものであり、満足なきものであり、渇愛の奴隷です」と。

尊者ラッタパーラは、この〔言葉〕を言いました。この〔言葉〕を言って、そこで、他にも、こう言いました。

〔そこで、詩偈に言う〕〔わたしは〕見る——世において、財を有する人間たちを。迷いの者たちは、富を得ても施さない。貪りの者たちは、財の蓄積を為し、まさしく、より一層、諸々の欲望〔の対象〕を望み求める。

王は、〔他を〕打ち負かして、地を征圧して、海を限りとして有する大地を占拠しつつも、海の此岸では不満の様子で、海の彼岸でさえも切望するであろう。

そして、王も、さらに、他の多くの人間たちも、渇愛を離れず、死に近づく。まさしく、不足の者たちと成って、肉身を捨棄する。世において、諸々の欲望〔の対象〕による満足は、まさに、存在しない。

親族たちは、諸々の髪を振り乱して、彼のことを泣き叫ぶ。そして、『ああ、まさに、不死にあらず』と言う。〔葬送の〕衣に包まれた彼を搬出して、荼毘の薪山を設置して、そののち、〔死体を〕焼く。

彼は、諸々の串に刺されながら、一衣で焼かれる——諸々の財物を捨棄して〔そののち〕。ここに、親族たちと朋友たちは、そこで、あるいは、道友たちも、死に行く者の救いには成らない。

相続者たちは、彼の財を運び去る。いっぽう、〔死んだ〕有情は、〔自己の為した〕行為のとおりに赴く。死に行く者に、何であれ、財が従い行くことはない——そして、子たちも、かつまた、妻たちも、さらに、財産と国土も。

財によって、長寿を得ることはない。さらに、また、富によって、老を打破することもない。慧者たちは言う。『まさに、この生命(寿命)は、僅かである。常久ならず、変化の法(性質)である』〔と〕

富者たちは、さらに、貧者たちも、接触するべきもの(死)に接触する。そして、愚者も、さらに、慧者も、まさしく、そのようにあり、〔接触するべきものに〕接触したなら、そして、愚者は、〔自らの〕愚かさゆえに、まさしく、打ち殺され、〔地に〕臥すが、しかしながら、慧者は、接触するべきものに接触したとして、動揺しない。

まさに、それゆえに、智慧こそは、財よりも、より勝っている——それによって、〔人は〕この〔世において〕、完成に到達する。まさに、完成なきことから、諸々の種々なる生存において、迷いの者たちは、諸々の悪しき行為(悪業)を為す。

〔迷いの者は〕〔の世〕から他〔の世〕へと、輪廻を惹起して、そして、〔母の〕胎に、さらに、他の世に、近づく。それ(輪廻的あり方)を盲信している、智慧少なき者は、そして、〔母の〕胎に、さらに、他の世に、近づく。

あたかも、入り口で捕捉された盗賊が、悪しき法(性質)の者として、自らの行為によって打ちのめされるように、このように、人々は、死してのち、他の世において、自らの行為によって打ちのめされる——悪しき法(性質)の者として。

まさに、諸々の欲望〔の対象〕は様々で、〔蜜のように〕甘美で、意が喜びとするものである。種々様々な形態で、〔人の〕心を掻き乱す。〔この〕危険を、諸々の欲望の属性のうちに見て、王よ、それゆえに、出家者として、わたしは存している。

諸々の木の果が落ちるように、人間たちは、かつまた、青年たちも、かつまた、年長の者たちも、肉体の破壊ある者たちである。このことをもまた見て、王よ、出家者として、〔わたしは〕存している。雑物なしの、沙門の資質こそは、より勝っている」と。

ラッタパーラの経は終了となり、〔以上が〕第二となる。

注釈【4】