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翻訳【55】

慈愛の経

すなわち、〔まさに〕その、寂静の境処を知悉して、〔実践の〕(目的)に巧みな智ある者によって為されるべきは、〔以下のとおりとなる〕。有能で、かつまた、〔心が〕真っすぐで、さらに、実直で、かつまた、素直で、柔和で、高慢なき者として、〔世に〕存するように。(1)

そして、〔常に足ることを知る〕満ち足りている者として、かつまた、〔他者を煩わさない〕扶養し易き者として、かつまた、為すべきこと(義務)少なく、軽素な生活者として、さらに、〔感官の〕機能の寂静なる者として、かつまた、賢明で、尊大ならず、〔行乞する〕家々にたいし貪求なき者として、〔世に存するように〕(2)

そして、どんなに小さなことであれ、その〔行為〕によって、他の識者たちが批判するなら、〔それを〕習行しないように。一切の有情たちは、安楽の自己ある者たちと成れ。まさしく、安楽で、平安の者たちと成れ。(3)

彼らが誰であれ、命ある生類たちとして〔世に〕存するなら、あるいは、〔心が〕震え動く者(凡夫)たちも、あるいは、〔心が〕震え動かない者(阿羅漢)たちも、〔全て〕残りなく⸺あるいは、長いものたちも、あるいは、すなわち、大きなものたちも、中なるものたちも、短いものたちも、微細なるものや粗大なるものたちも⸺(4)

あるいは、〔かつて〕見たことがあるものたちも、あるいは、すなわち、〔いまだ〕見たことがないものたちも⸺あるいは、すなわち、遠くに住するものたちも、遠くないところに〔住するものたちも〕、あるいは、〔いまここに〕生類としてあるものたちも、あるいは、〔未来の〕発生を求めるものたちも、一切の有情たちは、安楽の自己ある者たちと成れ。(5)

他者は他者を欺かないように。どこにおいても、〔それが〕誰であれ、その者を軽んじないように。反目ゆえに、敵対の表象有対想:自己に対峙対立する表象)ゆえに、互いに他の苦しみを求めないように。(6)

あたかも、母が自分の子を〔守るように、それも〕命がけで独り子を守るように、このように、また、一切の生類にたいし、無量なる〔慈愛の〕意図を修めるように。(7)

そして、一切の世〔の人々〕にたいし、無量なる慈愛の意図を修めるように。上に、そして、下に、さらに、横に、隔てなく、怨みなく、敵なき〔心〕〔修めるように〕(8)

立っているも、歩いているも、あるいは、坐っているも、臥しているも、眠気を離れた者として〔世に〕存する、そのかぎりは、この〔行住坐臥の〕気づきを、〔瞬間瞬間に〕確立するように。この〔行住坐臥の気づき〕を、〔賢者たちは〕「この〔世における〕梵の住」と言う。(9)

そして、〔誤った〕見解に近しく赴かずして、〔あるがままの〕見を成就した戒ある者は、諸々の欲望〔の対象〕にたいする貪求〔の思い〕を取り除いて、もはや、胎に臥す〔境遇〕にふたたび至り行くことは、まさに、ない。ということで⸺(10)

慈愛の経が第八となり、〔以上で〕終了となる。

注釈【2】