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翻訳【16】

正しい遍歴遊行なるものの経

〔対話者が尋ねた〕「多大なる智慧ある牟尼に尋ねます。〔激流を〕超え、彼岸に至り、完全なる涅槃に到達し、自己を安立した方に〔尋ねます〕。家から出て、諸々の欲望〔の対象〕を除き去って〔そののち〕、どのように、比丘として、彼は、世において、正しく遍歴遊行するのですか」〔と〕(1)

かくのごとく、世尊は〔答えた〕「彼にとって、諸々の幸福〔の占い〕が完破されたなら⸺諸々の天変地異〔の占い〕〔完破され〕、そして、諸々の夢〔の占い〕〔完破され〕、さらに、諸々の特相〔の占い〕〔完破されたなら〕⸺彼は、幸福〔と不幸の思い〕という〔心の〕汚点を捨棄した者であり、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(2)

諸々の人間〔の欲望の対象〕にたいし、さらに、また、天の諸々の欲望〔の対象〕にたいし、貪り〔の思い〕を取り除くなら、比丘として、〔迷いの〕生存を超え行って、法(真理)を行知して、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(3)

諸々の中傷〔の言葉〕に背を向けて、忿激〔の思い〕と吝嗇〔の思い〕を捨棄するなら、比丘として、〔他者にたいする〕共感と反感(好き嫌いの感情)を捨棄した者であり、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(4)

かつまた、愛しいものも、かつまた、愛しくないものも、〔愛憎ともに〕捨棄して、〔何も〕執取せずして、どこにであれ、依存なき者は、諸々の束縛するものから解き放たれた者であり、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(5)

彼が、諸々の〔生存の〕依り所(依存の対象)について、真髄に至らず(真実として認めず)、諸々の執取〔の対象〕にたいする欲〔の思い〕と貪り〔の思い〕を取り除くなら、彼は、依存なき者であり、他者に導かれない者であり、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(6)

言葉によって、かつまた、意によって、かつまた、行為によって、〔他者を〕遮ることなく(他者にたいし敵意なくあり)、正しく法(真理)を見出して、〔常に〕涅槃の境処を望み求めている者⸺彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(7)

彼が、比丘として、『〔人は〕わたしを敬拝する』と傲慢にならず、たとえ、罵られたとして〔他者を〕怨まず、他者から食料を得ても驕り高ぶらないなら、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(8)

かつまた、貪り〔の思い〕も、かつまた、〔迷いの〕生存も、〔両者ともに〕捨棄して、そして、〔命あるものを〕切ることや縛ることから離れたなら、比丘として、彼は、懐疑を超え、矢を抜いた者であり、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(9)

自己にとって適切なることを見出して、そして、比丘として、世において、誰であれ害さないなら、真実なるままに法(真理)を見出して、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(10)

彼に、何であれ、諸々の悪習随眠:潜在煩悩)が存在せず、そして、諸々の善ならざる根元不善根:貪・瞋・痴の三毒)が完破されたなら、彼は、願望なき者であり、〔何も〕願い求めない者であり、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(11)

煩悩が滅尽し、〔我想の〕思量:自他を比較し価値づける心)が捨棄され、一切の貪りの道を超克し、〔心身が〕調御され、完全なる涅槃に到達し、自己を安立した者⸺彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(12)

信があり、聞があり、〔正道の〕決定(正しい実践方法)を見る者が、〔特定の〕党派に赴く者たちのなかにいながら〔特定の〕党派に走り行かない慧者としてあり、貪欲と憤怒を〔取り除き〕、敵対〔の思い〕を取り除くなら、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(13)

清浄なる勝者、〔迷妄の〕覆いが開かれた者、諸法(事象)について自在なる者、彼岸に至る者、動揺なき者、形成〔作用〕:生の輪廻を施設し造作する働き)の止滅の知恵に巧みな智ある者⸺彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(14)

諸々の過去のことについて、さらに、また、諸々の未来のことについて、妄想を超え行った者、超え行って〔そののち〕清浄の智慧ある者、一切の〔認識の〕場所:認識対象)から解き放たれた者⸺彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう。(15)

〔涅槃の〕境処を了知して、〔迷妄の覆いが〕開かれた〔あるがままの〕(真理)を行知して、諸々の煩悩の捨棄を見て、一切の〔生存の〕依り所(依存の対象)の完全なる滅尽あることから、まさに、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう」〔と〕(16)

〔対話者が言った〕「世尊よ、まさに、たしかに、このことは、まさしく、そのとおりです。すなわち、彼が、このような住ある者となり、〔心身が〕調御された比丘として、一切の束縛するものの束縛を超克したなら、彼は、世において、正しく遍歴遊行するでしょう」〔と〕。ということで⸺(17)

正しい遍歴遊行なるものの経が第十三となり、〔以上で〕終了となる。

注釈【1】