このように、わたしは聞きました。或る時のことです。世尊は、サーヴァッティーに住んでおられます。ジェータ林のアナータピンディカ〔長者〕の林園において。また、まさに、その時点にあって、尊者アーナンダが、集会所において、比丘たちに、法(教え)の講話によって、〔教えを〕見示し、受持させ、激励し、感動させます。賢く幸いなる一夜ある者の、そして、誦説を、さらに、区分を、語ります。
そこで、まさに、世尊は、夕刻時に、静坐から出起し、集会所のあるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、設けられた坐に坐りました。坐って、まさに、世尊は、比丘たちに告げました。「比丘たちよ、いったい、まさに、誰が、集会所において、比丘たちに、法(教え)の講話によって、〔教えを〕見示し、受持させ、激励し、感動させたのですか。賢く幸いなる一夜ある者の、そして、誦説を、さらに、区分を、語ったのですか」と。「尊き方よ、尊者アーナンダが、集会所において、比丘たちに、法(教え)の講話によって、〔教えを〕見示し、受持させ、激励し、感動させました。賢く幸いなる一夜ある者の、そして、誦説を、さらに、区分を、語りました」と。
そこで、まさに、世尊は、尊者アーナンダに告げました。「アーナンダよ、また、すなわち、どのように、あなたは、比丘たちに、法(教え)の講話によって、〔教えを〕見示し、受持させ、激励し、感動させたのですか。賢く幸いなる一夜ある者の、そして、誦説を、さらに、区分を、語ったのですか」と。「尊き方よ、このように、まさに、わたしは、比丘たちに、法(教え)の講話によって、〔教えを〕見示し、受持させ、激励し、感動させました。賢く幸いなる一夜ある者の、そして、誦説を、さらに、区分を、語りました。
〔すなわち〕『過去を追い求めないように。未来を待ち望まないように。すなわち、過去なるものは、それは、〔すでに〕捨棄されたもの。そして、未来は、〔いまだ〕至り得ざるもの。
そして、彼が、現在の法(事象)を、〔時々刻々に〕その場その場において、〔あるがままに〕観察するなら、翻弄されず激情しない〔心のあり方〕を、それを、知ある者は、〔時々刻々に〕増進するであろう。
まさしく、今日、為すべきことを、熱く〔為せ〕。誰が、明日の死を知るであろう。なぜなら、大いなる軍団ある死魔と、彼と、わたしたちとに、〔期日の〕約束はないからである。
昼に、夜に、休みなく、このように〔世に〕住む熱情ある者を、彼のことを、まさに、「賢く幸いなる一夜ある者」と、寂静者たる牟尼は告げ知らせる』と。
友よ、では、どのように、過去を追い求めるのですか。『このような形態の者として、〔わたしは〕有った——過去の時(過去世)に』と、そこにおいて、愉悦を喚起します。『このような感受〔作用〕の者として、〔わたしは〕有った——過去の時に』と、そこにおいて、愉悦を喚起します。『このような表象〔作用〕の者として、〔わたしは〕有った——過去の時に』と、そこにおいて、愉悦を喚起します。『このような諸々の形成〔作用〕の者として、〔わたしは〕有った——過去の時に』と、そこにおいて、愉悦を喚起します。『このような識知〔作用〕の者として、〔わたしは〕有った——過去の時に』と、そこにおいて、愉悦を喚起します。友よ、このように、まさに、過去を追い求めます。
友よ、では、どのように、過去を追い求めないのですか。『このような形態の者として、〔わたしは〕有った——過去の時(過去世)に』と、そこにおいて、愉悦を喚起しません。『このような感受〔作用〕の者として、〔わたしは〕有った——過去の時に』と、そこにおいて、愉悦を喚起しません。『このような表象〔作用〕の者として、〔わたしは〕有った——過去の時に』と、そこにおいて、愉悦を喚起しません。『このような諸々の形成〔作用〕の者として、〔わたしは〕有った——過去の時に』と、そこにおいて、愉悦を喚起しません。『このような識知〔作用〕の者として、〔わたしは〕有った——過去の時に』と、そこにおいて、愉悦を喚起しません。友よ、このように、まさに、過去を追い求めません。
友よ、では、どのように、未来を待ち望むのですか。『このような形態の者として、〔わたしは〕存するであろう——未来の時(未来世)に』と、そこにおいて、愉悦を喚起します。『このような感受〔作用〕の者として、〔わたしは〕存するであろう……略……。『このような表象〔作用〕の者として、〔わたしは〕存するであろう……。『このような諸々の形成〔作用〕の者として、〔わたしは〕存するであろう……。『このような識知〔作用〕の者として、〔わたしは〕存するであろう——未来の時に』と、そこにおいて、愉悦を喚起します。友よ、このように、まさに、未来を待ち望みます。
友よ、では、どのように、未来を待ち望まないのですか。『このような形態の者として、〔わたしは〕存するであろう——未来の時(未来世)に』と、そこにおいて、愉悦を喚起しません。『このような感受〔作用〕の者として、〔わたしは〕存するであろう……略……。『このような表象〔作用〕の者として、〔わたしは〕存するであろう……。『このような諸々の形成〔作用〕の者として、〔わたしは〕存するであろう……。『このような識知〔作用〕の者として、〔わたしは〕存するであろう——未来の時に』と、そこにおいて、愉悦を喚起しません。友よ、このように、まさに、未来を待ち望みません。
友よ、では、どのように、諸々の現在の法(事象)において翻弄されるのですか。友よ、ここに、無聞の凡夫が、聖者たちと会見しない者であり、聖者たちの法(教え)を熟知しない者であり、聖者たちの法(教え)において教導されず、正なる人士たちと会見しない者であり、正なる人士たちの法(教え)を熟知しない者であり、正なる人士たちの法(教え)において教導されず、形態を、自己〔の観点〕から等しく随観し、あるいは、形態あるものを、自己と〔等しく随観し〕、あるいは、自己のうちに、形態を〔等しく随観し〕、あるいは、形態のうちに、自己を〔等しく随観します〕。感受〔作用〕を……。表象〔作用〕を……。諸々の形成〔作用〕を……。識知〔作用〕を、自己〔の観点〕から等しく随観し、あるいは、識知〔作用〕あるものを、自己と〔等しく随観し〕、あるいは、自己のうちに、識知〔作用〕を〔等しく随観し〕、あるいは、識知〔作用〕のうちに、自己を〔等しく随観します〕。友よ、このように、まさに、諸々の現在の法(事象)において翻弄されます。
友よ、では、どのように、諸々の現在の法(事象)において翻弄されないのですか。友よ、ここに、有聞の聖なる弟子が、聖者たちと会見する者であり、聖者たちの法(教え)を熟知する者であり、聖者たちの法(教え)において善く教導され、正なる人士たちと会見する者であり、正なる人士たちの法(教え)を熟知する者であり、正なる人士たちの法(教え)において善く教導され、形態を、自己〔の観点〕から等しく随観せず、あるいは、形態あるものを、自己と〔等しく随観せ〕ず、あるいは、自己のうちに、形態を〔等しく随観せ〕ず、あるいは、形態のうちに、自己を〔等しく随観し〕ません。感受〔作用〕を、自己〔の観点〕から……。表象〔作用〕を……。諸々の形成〔作用〕を……。識知〔作用〕を、自己〔の観点〕から等しく随観せず、あるいは、識知〔作用〕あるものを、自己と〔等しく随観せ〕ず、あるいは、自己のうちに、識知〔作用〕を〔等しく随観せ〕ず、あるいは、識知〔作用〕のうちに、自己を〔等しく随観し〕ません。友よ、このように、まさに、諸々の現在の法(事象)において翻弄されません。
〔すなわち〕『過去を追い求めないように。未来を待ち望まないように。すなわち、過去なるものは、それは、〔すでに〕捨棄されたもの。そして、未来は、〔いまだ〕至り得ざるもの。
そして、彼が、現在の法(事象)を、〔時々刻々に〕その場その場において、〔あるがままに〕観察するなら、翻弄されず激情しない〔心のあり方〕を、それを、知ある者は、〔時々刻々に〕増進するであろう。
まさしく、今日、為すべきことを、熱く〔為せ〕。誰が、明日の死を知るであろう。なぜなら、大いなる軍団ある死魔と、彼と、わたしたちとに、〔期日の〕約束はないからである。
昼に、夜に、休みなく、このように〔世に〕住む熱情ある者を、彼のことを、まさに、「賢く幸いなる一夜ある者」と、寂静者たる牟尼は告げ知らせる』と。
尊き方よ、このように、まさに、わたしは、比丘たちに、法(教え)の講話によって、〔教えを〕見示し、受持させ、激励し、感動させました。賢く幸いなる一夜ある者の、そして、誦説を、さらに、区分を、語りました」と。
「アーナンダよ、善きかな、善きかな。アーナンダよ、善きかな、まさに、あなたは、比丘たちに、法(教え)の講話によって、〔教えを〕見示し、受持させ、激励し、感動させました。賢く幸いなる一夜ある者の、そして、誦説を、さらに、区分を、語りました。
〔すなわち〕『過去を追い求めないように。……略……。
……略……彼のことを、まさに、「賢く幸いなる一夜ある者」と、寂静者たる牟尼は告げ知らせる』と。
アーナンダよ、では、どのように、過去を追い求めるのですか。……略……。アーナンダよ、このように、まさに、過去を追い求めます。アーナンダよ、では、どのように、過去を追い求めないのですか。……略……。アーナンダよ、このように、まさに、過去を追い求めません。アーナンダよ、では、どのように、未来を待ち望むのですか。……略……。アーナンダよ、このように、まさに、未来を待ち望みます。アーナンダよ、では、どのように、未来を待ち望まないのですか。……略……。アーナンダよ、このように、まさに、未来を待ち望みません。アーナンダよ、では、どのように、諸々の現在の法(事象)において翻弄されるのですか。……略……。アーナンダよ、このように、まさに、諸々の現在の法(事象)において翻弄されます。アーナンダよ、では、どのように、諸々の現在の法(事象)において翻弄されないのですか。……略……。アーナンダよ、このように、まさに、諸々の現在の法(事象)において翻弄されません。
〔すなわち〕『過去を追い求めないように。……略……。
……略……彼のことを、まさに、「賢く幸いなる一夜ある者」と、寂静者たる牟尼は告げ知らせる』」と。
世尊は、この〔言葉〕を言いました。わが意を得た尊者アーナンダは、世尊の語ったことを大いに喜んだ、ということです。
アーナンダと賢く幸いなる一夜ある者の経は終了となり、〔以上が〕第二となる。
注釈【3】
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