〔尊者ヴァンギーサが尋ねた〕「まさしく、所見の法(現世)において、諸々の疑惑を断ち切る方である、〔まさに〕その、至上の智慧ある教師(ブッダ)に、〔わたしは〕尋ねます。アッガーラヴァにおいて、比丘が、命を終えました。知名ある者であり、盛名ある者であり、自己が寂滅した者です。(1)
世尊よ、『ニグローダ・カッパ』という、その婆羅門の名は、あなたによって付けられました。彼は、あなたを礼拝しながら、〔苦からの〕解き放ちを期す者として、精進に励む者として、断固として法(真理)を見る者として、〔世を〕歩みました。(2)
釈迦〔族〕の方よ、一切に眼ある方よ、わたしたちは、全てもろともに、彼のことを、〔あなたの〕弟子のことを、了知することを求めます。わたしたちの〔両の〕耳は、〔あなたの答えを〕聞くために待ち構えています。あなたは、わたしたちの教師です。あなたは、無上なる方として〔世に〕存しています。(3)
わたしたちの疑惑を、まさしく、断ち切ってください。それを、わたしに説いてください。広き智慧ある方よ、〔彼が〕完全なる涅槃に到達した者であるかを、〔わたしたちに〕知らせてください。一切に眼ある方よ、まさしく、わたしたちの中において、語ってください⸺千の眼ある帝釈〔天〕(インドラ神)が、天〔の神々〕たちに〔語る〕ように。(4)
それらが何であれ、諸々の拘束は、この〔世における〕、諸々の迷妄の道も、諸々の知恵なき徒も、諸々の疑惑の境位も、それらは、如来に至り得て〔そののち、もはや〕有ることなくあります。なぜなら、〔如来の〕この眼は、〔世の〕人たちのなかの最高のものであるからです。(5)
もし、人士たる方が、諸々の〔心の〕汚れ(煩悩)を、あたかも、風が層雲を〔吹き払う〕ように、まさに、しっかりと打ち払わないなら、一切の世は、まさしく、〔迷妄に〕覆われた闇として存するでしょうし、光輝ある人たちもまた、光り輝くことはないでしょう。(6)
しかしながら、慧者たちは、灯火の作り手たちとして〔世に〕有ります。勇者よ、〔まさに〕その、あなたのことを、わたしは、まさしく、そのとおりに思います。〔あるがままの〕観察者と知り、〔わたしたちは、あなたのもとへと〕近しく赴いたのです。諸衆のなか、わたしたちに、カッパ(ニグローダ・カッパ)のことを明らかにしてください。(7)
麗しき方よ、麗しき言葉を、すみやかに発してください⸺白鳥が、〔首を〕もたげて、おもむろに〔鳴く〕ように、吟じてください⸺美しく整えられた、まろやかな声で。まさしく、全ての者たちが、〔心が〕真っすぐに赴いた者たちとなり、あなたの〔言葉を〕聞くでありましょう。(8)
残りなく生と死を捨棄した清き方に請い求めて、法(真理)を説いてもらいましょう。なぜなら、凡夫たちには、欲することを〔究明して〕為すことはなく、しかしながら、如来たちには、〔是非を〕究明して為すことがあるからです。(9)
〔正しく〕成就された説き明かし(授記)は、これは、正しく真っすぐな智慧ある、あなたの正しく把握するところです。この最後の合掌は、しっかりと手向けられました。至上の智慧ある方よ、〔答えを〕知っている者は、〔わたしたちを〕迷わせてはいけません。(10)
彼此における聖なる法(教え)を見出しておきながら、至上の勇者たる方よ、〔答えを〕知っている者は、〔わたしたちを〕迷わせてはいけません。あたかも、炎暑のさなか、炎暑に焼かれた者が、水を〔望み求める〕ように、〔わたしは、あなたの〕言葉を待ち望みます。所聞〔の雨〕を降らせてください。(11)
それ(涅槃)を義(目的)として、カッパーヤナ(カッパ)は梵行を歩みました。どうでしょう、彼の、その〔義〕は、無駄ならずにあり、彼は、〔生存の依り所を残すことなく〕涅槃に到達したのでしょうか、それとも、〔生存の〕依り所という残りものを有する者(有余依)として〔命を終えたのでしょうか〕。〔彼が〕解脱者として有った、そのとおりに、〔わたしたちは〕それを聞きたいのです」〔と〕。(12)
かくのごとく、世尊は〔答えた〕「長夜にわたり悪しき習いとなった、黒き者(悪魔)の流れを、名前と形態(名色:現象世界)にたいする渇愛〔の思い〕を、〔カッパは〕この〔世において〕断ちました。生と死を、残りなく超えました」〔と〕。かくのごとく、世尊は説いた⸺五者(ブッダが最初に説法した五人の修行者)にとっての最勝者たる方は。(13)
〔尊者ヴァンギーサが言った〕「第七の聖賢たる方よ、〔まさに〕この〔わたし〕は、あなたの言葉を聞いて、〔心が〕清まります(より信を強くする)。わたしが尋ねたことは、まさに、無駄ならざるもの。婆羅門(ブッダ)は、わたしを騙しませんでした。(14)
すなわち、〔覚者の〕説くとおり、そのとおりに為す者として、覚者の弟子(カッパ)は、〔世に〕有りました。幻術師の死魔が広げた堅固な網を断ち切ったのです。(15)
世尊よ、カッピヤ(カッパ)は、執取の最初となるもの(執着の起源・根本原因)を見ました。カッパーヤナ(カッパ)は、まさに、極めて超え難い死魔の領域を超え行ったのです」〔と〕。ということで⸺(16)
ニグローダ・カッパの経が第十二となり、〔以上で〕終了となる。
注釈【1】
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